職場に行けばストレスばかり。特に相性の悪い上司だったらサイアクです。男だったら居酒屋で上司の悪口をツマミにしながら一杯っていうのもありますが、女性向けのストレス解消法があるんです。「嫌いな上司を総受けにする」です!
あぁオヤジBLというジャンルがあってよかった!
そしてオヤジBLの重鎮といえば「西田東」。西田東の描くオヤジには、日ごろ抑圧されたOLたちの怨念と願望が凝縮されているのです!働く女性の鬱屈した気持ちを晴らしてくれるのはこの方しかいないでしょ!
幼少の頃よりオッサンが好きですが、 BLを読むようになってからというもの、ますます愛おしくなる身近かなオッサンたち。
嫌いな上司に怒鳴られれば、他の部下(男)に犯される姿を想像してニヤニヤし、ハゲ頭を見れば、まぁ可愛いと思えるし、オヤジ好き BL脳をもってすれば、ありとあらゆるストレスからも解放されます。
いや?素晴らしい! BL界にオヤジジャンルがあってよかった。
山田ユギ先生の枯れかかったオヤジも最高だし、直野儚羅先生のかわいらしくも程よく筋肉が付いたオヤジも好きだし、中原一也先生の枯れてないフェロモンオヤジもたまらんし……とオヤジを描く作家さんは結構いて(小説は少ない気がする)、どの方を取り上げればいいんだーと悩みましたが、やはりずっと好きで追い続けている西田東先生でしょうか。
三浦しをん先生等々、たくさんの方がその魅力を語っていて今更なのですが……。
やはり、いいっ!
久しぶりに押し入れから引っ張り出してきて読んだ「目を閉じないで」。
花田次長、本当にその辺に転がってそうなオヤジです。何となくヤニ臭そうだし。メタボではないけど、特別ダンディでもない普通のオッサン。妻と死別した、ノンケの中年男性です。
そんな花田次長に惹かれていくのが、ゲイで特定の恋人を作らずその夜限りの関係を続けている、部下の村上。
ずっと一緒にいたいという相手といつか巡り合うから、自分を大切にしろと言う花田に、村上は住む世界が違うと思いつつも、その懐の深さに惹かれます。
花田の言葉に反発するかのように行きずりの男と寝る村上でしたが、乱暴に扱われた揚げ句、尻に道具を入れられそのままにされます。
そんな時花田から電話がかかってきて、村上は彼に助けを求めました。
枯れたオッサンが、男になるのです。
西田先生のオヤジ作品は、ただのオッサンが恋をして男になるのが萌えます。
ただのオッサンだから、ストレートに恋心を打ち明けることもなく、次の彼氏が出来るまで俺を好きになっておけ、なーんて言ったりして。
年齢ゆえに、好きだ好きだと突っ走れないのに、最終的にそれまでの人生で身に付けた常識なんかを突き破り、相手に向かうさまはキュンキュンします。
その辺にいるオッサンが男に恋をするという障害の高さが、私の萌える要素かもしれません。
で、尻の中のブツですが……。
直接的なベッドシーンよりも、こういったエッチなことをするつもりじゃないのに、あらまぁ……とエロいことになってしまうシーンの方がめちゃくちゃ萌えるのはなぜでしょう。
結果的にブツは取れますが、西田先生の描く快感を表す表情はたまらないです。
そんな村上の表情に、花田次長もムラムラしちゃったんですね!
枯れていたはずのオッサンが、恋をして欲情する。
だけど、そんな気持ちを自分の中に押し込める。
やがて、押し込めていたはずの気持ちがあふれ出し、ただのオッサンじゃなくなる。
オヤジ作品にもそれぞれの魅力がありますが、私がオヤジ物を愛する理由はそこにあるかもしれません。
大人になると色んなしがらみがあって、それらを突き破るほどの恋なんて現実ではそうそうあるものじゃない。そんな恋をするオヤジの姿は、何とも可愛らしいのです。
そう思って周りを見渡せば、どうしようもないオッサンも意外と可愛く見えるかもしれませんよ。もしかして、男に恋してたり……と。(すごいね、私のBL脳は)
紹介者プロフィール:弥七 三十路主腐。旦那と付き合っている一年ほどはBLから離れ、卒業出来たのか! と思ったのもつかの間、一瞬で戻ってきました。「小説June」で魚住くんシリーズを読んでいたドキドキ感を忘れられず、今でもBLは雑誌で追いたいと「花音」「Cita Cita」「Dear+」「小説B- boy」「小説Dear+」「小説ショコラ」は定期的に購入。それでも周りに腐女子がいないので、BL 用語にはうとい。