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旧版と読み比べてみたい1冊 “今”の崎谷はるひを知る手がかりがココに 『しなやかな熱情』

2008/08/08 00:00

画家の秀島慈英は、初めての個展に失敗し傷心のまま訪れた先で、刑事の小山臣と出会う。綺麗な容姿に似合わず乱暴な口をきく臣と会うたびに心を奪われていく慈英だったが、この感情が何なのかはわからない。ある日、偶然目撃した事件のせいで狙われ怪我をした慈英に、臣は思わず迫るのだが…!?ノベルズ版と商業誌未発表作品を大幅加筆改稿で待望の文庫化。

 もうベテランの崎谷はるひさんですので、全く読んだことがないという方のほうが珍しいかもしれません。BLに嵌まったばっかり…という方はその限りではありません。
微に入り細に入った心理描写と、時に数十ページに渡るねちっこいHシーンが特徴でしょうか?
特に近年はその傾向が強いですが、今年出版された新刊には、「意外にHが少ないぞ」というものもあります(笑)。
作品数も多いですし、シリーズもたくさん持っていらっしゃいますが、『ANSWERシリーズ』『ブルーサウンドシリーズ』『ミルククラウンシリーズ』『白鷺シリーズ 』などが有名。

そんな中、今回は『しなやかな熱情』を取り上げてみました。
『しなやかな熱情』は2001年リーフノベルズから単発作品として刊行されましたが、その後かなり書き込みを加えられて他社より文庫として再発行され、その後『ひめやかな殉情』『あざやかな恋情』と続編が書かれシリーズとして完結しました。
近年CDも発売されて、リーフの『しなやかな熱情』はともかく、手に取りやすい状況となっていますが、文庫版『しなやかな熱情』が発売された時、リーフ版との違いに実はちょっと驚きました。
筋は変わっていないんですが、リーフ
の「『しなやかな熱情』はもっとアッサリしていたんですよね。

辛い過去のある受けは、今は立ち直り刑事となっていて、綺麗な顔に若いときの“ヤンチャ”な顔が覗くイキのいいタイプで、東京で傷つき覇気を失くして信州に引っ込んだ芸術家肌の攻めと出会い、事件に遭遇して一緒に行動するうちに惹かれ合い…というお話ですが、このまんまでも私はわりと好きなお話でした。「攻受両方ともぶきっちょで可愛らしい年下攻めカップル」という感じで。

しかし数年を経て加筆修正された『しなやかな熱情』は印象は全く違うものになっています。
悪い意味ということではなく、リーフ版では書かれていなかった心情が、それこそ「ねちっこく」書き足されていて、人物がより鮮明に描き出されるようになっています。

作者の成長もあるでしょうが、思い入れとか、その時書ききれなかった思いをありったけぶつけた新装版『しなやかな熱情』という感じで、その変貌はかなり楽しめました。
これぞ「今の崎谷はるひ」と思わされた次第で、非常に印象深かったです。
『ひめやかな殉情』『あざやかな恋情』は、この新装版の二人から続いていくので、旧版からだと違和感はあるかもしれません。

崎谷さんの昔の作品は、現在も次々に新装版が発刊されていて、なつかしい作品も手に取りやすくなっていて嬉しいですね。
全てがここまで加筆修正されているわけではないですが。
崎谷さん初めての方なら甘くて読みやすい『ブルーサウンドシリーズ』辺りもオススメですよ。

紹介者プロフィール:汐
本代を捻出するため(もちろんBL)、日々いかに節約するかで頭がいっぱいの主婦。砂原糖子の商業誌作品はコンプリート。小川いら、たけうちりうと、も即買い。BL以外では、椹野道流「鬼籍通覧シリーズ」に勝手に腐の香りを嗅ぎ取り萌え狂っているらしい。しかし好きな本ほど絶版になるというジンクスが……。

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