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攻め、エチ中の大暴走
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2024/03/26 20:00
(これだけ演技の上手い声優さんが揃っているBLCD界なら……
感動の名作を音声化したら超泣けるんじゃ……?)
「音だけで物語を紡ぐ」ことに対して最も優れた職業といえば声優さん。愛によって揺れ動く心情を丁寧に追ったドラマCDは、その本領発揮の場所と聞きます。
先生の素晴らしい原作、二人の間で育む愛、物語を支える名脇役、想像力をかきたてるBGMや効果音……その他さまざまな尽力が合わさって初めて完成する総合芸術。
「BLはエロありき」? いえいえそれも大事ですが、真髄はそれだけじゃないとお伝えすべく、とっておきの泣ける名作CD12選をご紹介いたします!!!
◆目次◆
1.心の声が聞こえたら?名コンビが彩るBLCD最高峰
2.BLの認識を広げてくれる"""人生"""CD
3.全米が泣いた…!ノスタルジックな情景を完全再現
4.いちばんの愛を探す、ほのぼの人情メロドラマ
5.まるで洋画、色気溢れるヒューマノイドもの傑作
6.ただ一人に捧ぐ献身――ミステリアスオメガバース
7.やっぱりこれは外せない!記憶喪失の名盤
8.揺さぶれ倫理観!タイムスリップで実の父親と…
9.クズがこんなに愛おしく思える演技は初めて
10.不憫界激推し、ドドド不憫健気受け大河ドラマ
11.似非S×真性M、純文学なボーイズ相互不理解
12.たった一言「好きだ」が返せなくて
STORY(原作:砂原糖子、イラスト:三池ろむこ)
三年前から突然人の心の声が聞こえ始め、以来人間不信気味の余村。ある日彼は、自分に好意を持っているらしい同僚の長谷部の心の声を聞いてしまう。罪悪感を覚えつつも、言葉で、“声”で、一途に注がれる愛情が心地よく、余村も長谷部を好ましく思うようになる。そしてついに長谷部の告白を受け入れるが、余村が心の声を聞けると知った長谷部の反応は意外なものだった……。
◆泣けるポイント
「神様……もう僕は誰の心も知りたくない。どうか聞こえないようにしてください神様、もう一度」
戦争は起きないし人も死なないけれど涙腺崩壊。
「もしも心の声が聞こえたら?」という不思議な現象に丁寧に向き合ったシリアス名作です。嫌な気持ちもすべて筒抜けで人を信じられなくなった主人公が、不器用ながらもまっすぐな攻めに出会い救われていく過程に感動まったなし!
聞きどころその1は、神谷浩史さんの神秘的で美しいモノローグ。静かに淡々と進むなかで、諦観を思わせる虚ろな声から恋をして胸が張り裂けるような痛みへのグラデーションが素晴らしすぎます……抑えめな受け声の色っぽさ反則級!! ちなみに2008年発売のCDですがトークによると収録は2007年で、その年の神谷さんはすべて受け出演だったそう。数々の伝説を残してくださりありがとうございます!
聞きどころその2はずーっと熱烈に愛を叫んでいる、小野大輔さん演じる長谷部の心の声! 結局表でも裏でも余村さんのこと大好きなのがだだ漏れ! こんなにかっこいい声で嘘がない人間を演じられたら、絆されずにいらませんよね……! ベテラン声優さんの若手時代の初々しい年下攻めからしか得られない栄養素が詰まっています♥
Atis collection公式
STORY(原作:凪良ゆう、イラスト:小山田あみ)
同居していた十年来の恋人に振られ、居場所をなくしていた、小説家のつぐみ。 偶然出会った何でも屋の青年、朔太郎の祖父が経営するアパートに下宿することに。 元々つぐみの小説のファンだった朔太郎と、互いに惹かれ合う。 けれど朔太郎には、もう恋をしないと決意させた秘密があって …… 。
◆泣けるポイント
「明日にはまた忘れ、そしてまた思い出すだろう…毎日、毎日、愛しさと懐かしさを積み上げていく。」
記憶障害の青年×臆病な作家の純愛!
ゆっくりと眠りに入る前に聞きたい、透明感あふれる優しく悲しい物語です(ただし絡みは意外と濃厚)。
耳が肥えたドラマCDリスナーからの信頼厚し! 感動作メーカー松岡禎丞さんは本作でもその表現力が爆発。儚げで可愛らしい中に仄暗さをまとった声に、つぐみの孤独も寂しさも救いも感じ取れて。キャラの"""生"""の感情がほとばしる名演には、もらい泣き越えて大号泣。BLの大事なことはすべて松岡さんから学べます。
一方、古川慎さんといえば声量おばけでお馴染み。天才的コメディ演技や熱血な叫びの印象が強いかもしれませんが、実は静の古川さんも最高なんです……! 爽やかな好青年でいて、事故の後遺症のせいで大事な記憶を忘れてしまう朔太郎という極めて難しい役に魂を込めてくださいました。100作以上ある出演作の中でも屈指の重厚ストーリー、生涯最後まで聞き届けて!
ちなみに原作は『美しい彼』と同じ2014年に発売され、BLアワード2015の小説部門1位2位を飾った凪良ゆう先生の人気作! 『恋愛前夜』のスピンオフということで、引き続き木村良平さん演じるヤコ先生の愛されキャラっぷりも要チェックですよ~~!
STORY(原作:吾妻香夜)
80年代アメリカ。ブロードウェイの夢破れ、田舎の街でウエイターと男娼をしているオズは、ある日、バーに来たアーミッシュの青年・テオを「客」と間違え部屋に連れ込んでしまう。行くあても無いテオを放っておけず、つい面倒を見てしまうオズ。怒ることも疑うこともない、優しく純粋なテオと過ごすうちにオズはニューヨークで擦れていた気持ちが絆され、彼を愛するようになるが…。
ラムスプリンガ――それは、アーミッシュが自由を謳歌する期間。その短い季節の終わりに彼らが選ぶのは。
◆泣けるポイント
「僕は必ずオズにどこかで出会って、オズは僕にこの世界を教えてくれて、僕はオズをぜったい好きになる」
BLの魅力のひとつは、違う世界で生きる者同士が惹かれ合い、痛みを伴いながらもお互いのために枠から一歩踏み出す尊さ。まさに永久に不滅です。
野島健児さんの超絶ピュアな健気受け作品を知る人こそ聞いていただきたい本作。なぜならオズの擦れっぷりが凄まじいから! ダンサーの夢半ばで、男娼として大事なものを擦り減らしながら生きていく大人を、洋画吹き替えのように再現してくださいました。年上美人受けの低音の色気にうっとり……。長きにわたってドラマCDに出演してくださる役者さんの役幅の広さに驚かされることしきりです!
そして俗世から隔離された環境で育ったがために、な~~んにも世間を知らない無垢で可愛らしいテオを演じるのは内田雄馬さん! キラッキラな光属性わんこは彼にお任せ!! オズと心を通い合わせて成長していく姿を追うことができて、長編映画を見終わった後のような清々しさと切なさが残ります。気づいちゃった……内田雄馬と書いて"""青春"""と読むんだって……。
ラストシーンの緑川光さん演じるダニーの慟哭や、80年代アメリカを思わせる牧歌的な音響にも要注目です! 細部まで一切の妥協がない令和のガチ名作。
Ginger Records公式 ポケドラ配信
STORY(原作:丸木戸マキ)
人気AV男優の仁はある日、ゲイビ出演の話を持ちかけられた。そこで出会ったネコ男優の光と体の相性がよかったため、ふたりはバディを組み、頻繁に共演することになる。仁と光のバディは人気を集め、順調に売れていたが、実際は仕事上の体の関係だけでお互いのプライベートのことは全く知らなかった。しかしある時、ふたりは同じマンションに住んでいることが判明し……
◆泣けるポイント
「2番とか3番とか10番とか100番くらいの愛情を細かく稼いで生きていくしかないときってあるんだよ」「でも…生きていかなきゃ」
ゲイビ男優がバディを組んで仕事していたら、プライベートでも……というBLファンの夢詰め込みセット!
5年連続受け出演数1位、BL界のプリンセスの呼び声高い斉藤壮馬さん。そんな斉藤さんの鋭い洞察力が、何かを「演じている」キャラクターの役でひときわ輝きいます。ゲイビ撮影というフィクションと、仁さんへのぼんやり自然体モード、息子くんへの母性すら漂う優しい声、過去に辛い境遇から連れ出してくれたカンちゃんへの切実さ……。どこを切り取っても真に迫った迫力があります!
そして、斉藤さんの初BLの共演のお相手でもある羽多野渉さん。ドラマCDでは年下わんこキャラに定評をお持ちですが、本作ではバツイチ子持ちの年上攻め役。いつもからは想像できないくらい、ドライな羽多野さんのお芝居に痺れる……! クールなお声で真面目にとんでもない台詞を読まれるおかしさと、独特な会話のテンポ感が癖になること必至です!
丸木戸マキ先生といえば『ポルノグラファー』や『僕らのミクロな週末』など重くてつらい部分と人間ドラマの温かさが同居しているのも魅力です。毎度癒しの思春期少年枠ですが、『目を閉じても光は見えるよ』では千葉翔也さんが仁の息子・斗真役で中学生を好演。ちょっと生意気で意地っぱりなクソガキの、思わず応援したくなっちゃう健気さが国宝級!!
フィフスアベニュー公式 ポケドラ配信
STORY(原作:座裏屋蘭丸)
マキの元にやってきたヒューマノイドのアラタは、容姿と記憶の一部をコピーしたハイスペックな【愛玩タイプ】。しかも最初に見た人間を好きになり依存する【すりこみ機能付き】。すりこみ機能により愛情を示すアラタを、マキは嬲るように抱く。
「ちゃんと愛して欲しい」とアラタは涙目で訴えるが、マキの心には決して融けない「永久凍土」があり……。
◆泣けるポイント
◆アンドロイド・ドールもののすゝめ◆
『500年の営み』(CV:小野友樹×鈴木達央)
『ショートケーキの苺にはさわらないで』(CV:野島裕史×武内健)
『アンドロイドの僕がスパダリに恋してもいいですか?』(CV:新垣樽助×天﨑滉平)
『ラバーズ・ドール』(CV:阿部敦×近藤隆)
『Hybrid Child-ハイブリッド・チャイルド-』(CV:鳥海浩輔&福山潤、諏訪部順一&宮田幸季、井上和彦&緑川光)(映像版CV:平川大輔&岡本信彦、木村良平&代永翼、小野友樹&松岡禎丞)
STORY(原作:麻生ミツ晃)
小説家の円(えん)と警察官の吐木(はばき)は、同じ施設で育った【同志】で【番】。
円はフェロモン分泌が異常で番以外の人間もそのフェロモンを感知してしまう上、番関係を結んだことで遺伝子変化が起こり、一般の抑制剤も効かなくなっている──そう、振る舞っている。
何も知らない吐木は円を支える為と出世を蹴り続け、所轄への異動初日に担当することになったのは、Ωを狙ったレイプ事件。そんな中、円は発情期に入り強烈なフェロモンを発しながら吐木を求める。──まるでΩのように……
◆泣けるポイント
「この世には 例えば かけ違えたボタンのように 簡単に 取り戻せるものと 戻せないものがあって……本当のことはもう言えない」
小野友樹さんと興津和幸さんといえば、以前ちるちるで集計した2010年代~共演数ランキング優勝のゴールデンコンビ! 『10DANCE』や『コヨーテ』等どんな役でもぴったり合わせる演技力を備えた、変幻自在なオールラウンダーおふたりです。
そんな歴戦の猛者が演じる骨太オメガバースだなんて、重厚さにニヤリとしちゃいますね……! ミステリー仕立てなので敷居が高いと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、中身はいたって純愛の幼馴染すれ違いモノなのでご安心を♥
特に興津さん演じる円のヒート(発情期)を生きているうちに一度は聞いてほしい……。抑制剤が効かない体質の円は俄然激しめに乱れていて、絡みのお芝居が最初と最後では全然違うんです! そのまさかの理由が明かされると衝撃と切なさとまりません!
小野さん演じる吐木は善意100%の優しそうな警察官ながら、円へのまっすぐすぎる想いが時には怖くもあり。円がモブに襲われかけたときに何度もうなじを噛む悲痛さといったら……うーん愛が重い攻めバンザイ。番解消を円から切り出されたときの反応も絶品です。
タイトルにもなっている「Re:birth」の意味が聞き終わった後にじわじわ染みる怪作。感情の起伏は激しくないのに、すこぶる健気な円のモノローグとともにお楽しみください!
KillscudCherry公式 ポケドラ配信
◆泣けるオメガバース入門◆
『かしこまりました、デスティニー side:Butler』(CV:前野智昭×興津和幸ほか)
『狂い鳴くのは僕の番;β 1』(CV:新垣樽助×小林裕介ほか)
『ロマンティック上等』(CV:佐藤拓也×松岡禎丞)
STORY(原作:朝丘戻、イラスト:テクノサマタ)
「離れたくないって想ったら、寂しくなったよ」
そう告げたのは、飄々として不躾で、どこか寂しげな予備校講師の能登先生だった。高校生の千歳は、優しすぎる彼の恋心に翻弄されながらも、幸福な時間を積み重ねた。ふたりきりの教室、一緒に見た花火、朝焼け……。けれど、それは一瞬にして千歳の中から消失した──…。恋を初めて知った能登と、恋を忘れた千歳の抗えない想いは……。
◆泣けるポイント
「今日も好きだった。明日も大好きだよ。これからも、おじいちゃんになってもずっと、一瞬だって途切れることなく愛してます」(記憶喪失前)
梶裕貴さんのお名前をBL界に轟かせた!! ノスタルジックな名作『あめの帰るところ』。とにかく梶さんのピュアであどけない声音と、砂糖細工のように繊細なお芝居が千歳役にドハマリなのです……! アニメでは激しい感情表現がお上手なイメージも強いですが、実は穏やかな演技も至高。この若手の時期にしか出せないきらめきを、ドラマCDにぎゅっと閉じ込めて何年経っても味わえる贅沢さたるや。
そして超ジェントル攻めボイス日野聡さん! 冒頭では飄々とした雰囲気をまとった予備校の先生ですが、物語が進めば進むほど人間味が増す名演。特にあめちゃんに忘れられてしまってからの絶望といったら……聞いてるこっちが泣いてしまうこと間違いありません。さり気ないのに、自然と感情移入させててしまう技術が凄い!
でろでろに甘く優しい前半と、切なさが殴りかかってくる後半の温度差でグッピーも壊滅。BLアワード2011年度CD部門優勝! 「感動した」「涙の連鎖が止まらない」という声多数の不朽の名作がなんと配信で聴けちゃいます!! 良い時代になりました。
ascolto公式 ポケドラ配信
◆小説原作、記憶喪失の名盤といえば?◆
『シナプスの柩』(CV:小西克幸×野島健児)
『COLD SLEEP』(CV:羽多野渉×野島裕史)
『デコイ』(CV:子安武人×近藤隆、三宅健太×鳥海浩輔)
『はなやかな哀情』(CV:三木眞一郎×神谷浩史)
『愛の蜜に酔え!』(CV:小野友樹×村瀬歩)
STORY(原作:池玲文)
幼少期に別離した父親との再会を果たした直後、突如22年前にタイムスリップした凉(りょう)! 時は、バブル絶頂期の昭和。そして、そこには三つ年下の父・果(このみ)がいた…!
慣れない環境と、現在へ戻れない不安から焦燥感を募らせる凉だったが、透明な果の存在に癒され、その感情がやがて形を変えていく…。
◆泣けるポイント
「きっと誰からも理解されないけど でも… 果の幸せと俺の幸せだけはイコールじゃないか」(2巻末)
タイムスリップ・近親相姦・ガチ親子とインモラル尽くし! 「倫理観はとても大事な感覚だからこそ、常に懐疑的でなければならない」と語る池玲文先生の真摯な姿勢が印象的な原作を2012-13年に渡ってCD化。
聞きどころは野島裕史さん演じる父の果のウブ可愛い14歳ボイスと、禁欲的ですらある37歳のオトナ低音の演じ分け! 時代柄もあって野島さんは難しい原作での演技力が光る役者さんなのですが、絡みの色っぽさでいえば特に本作がオススメです♪ 涼が「可愛い」を連呼しながら抱くくらい、本当に可愛くてかつ背徳感がえげつないので……!
【現代の若者がバブル期にタイムスリップした件】という内容ゆえ、鈴木達央さん演じる息子の涼の等身大チャラ男ボイスがぴったりでした! 現在の世界に戻ってからは、一人の男として足掻きながら実の父親に対してひたむきな愛情を注ぎ続ける姿を鮮烈に再現してくださいました。
蝉の鳴き声やお祭りの囃子など夏を感じさせる音響演出に、どこか懐かしさを覚えるのもオススメポイント。夏が来る度に聞き返したくなる、不思議な魔力を放つ名作です。
Atis collection公式
STORY(原作:木原音瀬、イラスト:ヤマシタトモコ)
愚かな生き方のせいで、家も家族もなくしてしまった百田。生きていても仕方がないと自棄になりかけた時、偶然通りかかった警官に制止される。生真面目な正論に腹を立て、その警官・浜渦に「抱かせろ」と無理難題をふっかけるが、彼はすべてをなげうち、百田を救ってくれた。彼のために生きることを誓う百田だったが…。ひたむきな恋がすべてを変えていく。
◆泣けるポイント
「俺のことを好きになれないからって、責めるつもりもねぇけどさ。けど、プレゼントくらい『ありがとう』って笑って受け取りゃいいじゃねぇか」
前科三犯人生どん底クズジャンキー×素っ頓狂なマジメ警官(童貞処女)。ぞ、属性が濃い……!
独特な役をも完全にモノにしてしまう異色の天才、吉野裕行さん。やることなすこと裏目に出る転落人生のモモを、チャーミングに再現してくださいました。ヨッ! 愛すべきダメ人間。ロンちゃんにぞっこんで、一途に尽くしまくって、愛されてる自覚が足りない不器用な生き様に悶えます……! 薬でオーバードーズに陥るシーンはまさに怪演。
そして、前野智昭さんといえば攻め出演が比較的多め。硬質な低音をお持ちなので受け役はレアですが、ロンちゃんのまっすぐすぎるくらい不器用で堅物で温かい人柄にぴったりでした! 2011年発売のCDらしい初々しさも今では貴重ですね。
木原音瀬先生の作品は『美しいこと』など痛いパートはとことん痛いことで有名ですが、モモロンに関してはおかしみも救いもあるラブラブカップルです。安心してください! 怖くないよ?
ビーボーイ公式 ポケドラ配信
◆痛い・つらい展開を愛でようの会◆
『ハッピー・オブ・ジ・エンド』(CV:立花慎之介×江口拓也)
『恋のまんなか』(CV:鳥海浩輔×武内健)
『ダブルミンツ』(CV:岸尾だいすけ×野島裕史)
『寄越す犬、めくる夜』(CV:興津和幸×中澤まさとも、興津和幸×阿部敦)
STORY(原作:六青みつみ、イラスト:白砂順)
身体に醜い痣をもつ少年・紫乃は、老犬・シロと狩りの最中に傷ついた戦装束の青年を救う。人と交流を持たず、山で一人、暮らしていた紫乃にとって、誰かが近くにいることが何よりも嬉しかった。夢でうなされ苦しむ青年を、必死に看病する紫乃。しかし、目覚めた青年は、紫乃の顔の痣を見て『化け物』と罵る。青年の残酷な言葉に深く傷ついた紫乃は、それでも献身的につくすのだったが――。
◆泣けるポイント
「俺だって好きでこんな身体に生まれたんじゃない…っ」
攻めざまぁと薄幸受けの名手・六青みつみ先生デビュー作! 呪いによって醜い痣を持つ、心の綺麗な受けがつらい境遇を耐えて耐えて幸せを掴むストーリーは古今東西問わず涙を誘う鉄板です!
健気受け職人・岸尾だいすけさんの透明感ある中性的な声が、紫乃の儚さにドはまり! かたやコメディ要素の強い作品でアドリブ無双してる岸尾さんと同一人物とは思えない振り幅です。泣き声が本当に痛ましく可哀想で……シリアスな作品で際立つ演技力をご堪能あれ。
スパダリボイス殿堂入り! 小西克幸さん演じる貴哉は、初期こそ傲慢攻めの趣があるもののそれすら上品でかっこいいです! 山の中で二人きりの生活を送るうちに徐々に棘が抜けていくと、落ち着いた優しい低音に惚れ惚れしちゃいます〜!
足利の世を想像させる、堀内賢雄さんの名ナレーションはもはや時代劇や大河ドラマ並の重厚感。昔のBLCDを聞く際には、敢えて時代モノやファンタジーを選ぶと古びにくいですよ! 目まぐるしく変わる若者言葉の流行り廃りに影響を受けにくいので……!
ネタバレですが、途中で犬が死んでしまうので犬好きの方は注意!
Atis collection公式
STORY(原作:井戸ぎほう)
顔は可愛いのに無口で無表情でミステリアスな飛田(とびた)くん。実は飛田くんがゲイでドMだと知った真澄(ますみ)は、好奇心からサド役を演じることに。『飛田くんが真澄の名前を呼んだらプレイ終了』という唯一の約束。それは2人のつながりの終わりも意味していたのだが、真澄はプレイメイトという限定された関係以上を期待するようになり──。
◆泣けるポイント
「本当は 飛田くんが俺の目を金星にしたあの夜から 俺はもう飛田くんに触るのが 怖くてしかたがない」
名作あるある、音声化されるまで時間がかかりがち。CD発売こそ2022年と最近なものの原作は2014年発売。長い年月が経っても変わらず、むしろその価値が高まっている不朽の名作です。
(昨今のDom/Subユニバースブームで、SM的関係への理解や興味を示す方が増えた影響もあるのでしょうか?)
いたぶられるのが気持ち良い飛田くん。お互いの同意のもとで始めたプレイだけの関係のはずでしたが、真澄の好意によって均衡が崩れ始めるその瞬間にドキリ。攻め視点で淡々と進む静かな作品で、純文学のように繊細な心理描写がじわじわ胸に沁みます……。
そして好奇心からSを演じる真澄を阿座上洋平さんが、真性ドMで影のある飛田くんを増田俊樹さんが見事に浮かび上がらせてくださいました。2022-23年の出演数研究にてトップクラスを誇り、BLCDの最前線を走るおふたり。音声のみの媒体ならではの間や、掛け合いの温度感のグラデーションにハッとさせられます。
近年のドラマCD界は、実写にも近いような「やりすぎない」自然な演技の方が多いという印象です。特に『夜はともだち』は原作同様に語りすぎない余白の演出が秀逸で、聞けば聞くほど味わいの増すスルメ作。ぜひ視聴後も引きずって……!
FUSION PRODUCT CD公式
STORY(原作:山中ヒコ)
国家間の争いが絶えない近未来。『イキガミ』は国を守る最強戦闘種であり、彼らの治療には、ただひとりの適合者である『ドナー』の体液が必要とされる。防衛省でイキガミを管理する柴田には、 “イキガミ”春人のドナーだった過去がある。 官僚の立場から春人を懐柔し操ろうとしたが、 心柔らかな春人は、すぐに柴田に恋してしまった。
そして、柴田と春人の時間から10年。 防衛省を辞めて無気力になった柴田に対して、 イキガミの滝は、ずっと柴田を好きだった想いと情熱をぶつける そんな滝は体だけの関係を許されるが、同時に春人の存在を知り、苦悩する。
滝の前から姿を消してしまった柴田と、ひたむきに追いかける滝。 二人の旅路の終わりは――。
◆泣けるポイント
「柴田さんごめん…こんな目に遭わせて。ドナーにしてごめん。好きになってごめん…」
「…お願いもう逃げないで。俺でいいじゃん…誰でもいいなら」
未亡人受け・W年下攻め・命を賭しても守りたいものにピンとあなたに激推し最新作!
争いの絶えない近未来で国を守る人間兵器「イキガミ」とその唯一の治療者である「ドナー」。過去編では、愛し合うがためにお互いを犠牲にせざるを得ないジレンマに泣き。現代編では、自分を責め続け失踪する受けをどこまでも追いかける攻めの一途さに泣き。
BLCDの歴史に名を刻むドラマティックSFラブストーリーです!
八代拓さん演じる春人のふわりと柔らかい春の陽だまりのような声と、山下誠一郎さん演じる滝のどっしり支える大地のような落ち着く声が聞きどころ! 春人の全身全霊で「好き」と「ごめん」を伝える姿は、儚くて切なくてもう一生忘れられないでしょう……。滝は愚直なまでの優しさで、過去もまるごと全部包み込む様子が頼もしく……。
こんなにタイプの違う年下わんこ攻めを一作で楽しめるなんてご馳走すぎます!!!!(ちなみにスピンオフ元『イキガミとドナー』のツンデレ過保護わんこ鬼道と、その相方の吉野も登場)
そして、二人から愛される柴田を演じるのは”輝く闇のような声”(羽海野チカ先生命名)の河西健吾さん。死が身近にある役柄がほんとうに映える名配役です。柴田の心を閉ざした状態から徐々に絆されていくまでを淡々としつつも緻密に、時に危うい色香を纏いながら演じきってくださいました!
Ginger Records公式
◆影のある未亡人ボイスに惑わされ隊◆
『ANSWER』(CV:森川智之×鈴木千尋)
『白の彼方へ』(CV:中村悠一×緑川光、井上和彦×緑川光)
『ファザー・ファッカー』(CV:野上翔×山中真尋)
『インディゴの気分』(CV:松田健一郎×新垣樽助)
『NIGHTS BEFORE NIGHT』(CV:小野友樹×野島裕史、森川智之×野島裕史)
『百と卍 三』(千と兆)(CV:浜田賢二&田丸篤志)
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既にたくさん評価されていますがもっと! もっともっと! 永遠に評価されるべき!!な泣ける名作BLCD12選でした。あなたのお気に入りCDは何作ありましたか?
「重厚な物語を楽しめるドラマCDを教えて」と聞かれたら、自分なら何と答えよう? と考えたのが本記事作成のきっかけです。
もちろん人それぞれ答えは違って当然。「あの名作がまだ出てないよ!」と思われましたら、そのパッションをコメント欄にぶつけていただけますと大変助かります。語り継ごう、名盤の輪!
2024年3月27日追記:本文及び画像内に一部誤りがございましたので、訂正しお詫び申し上げます。コメントにてご指摘いただきましたこと、厚く御礼申し上げます。
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担当記者:はち丸わん |
コメント4
匿名4番さん(1/1)
野島兄弟がどっちもいらっしゃるの本当にすごいと思う……BLでもずっと第一線で活躍し続ける兄弟
匿名3番さん(1/1)
セックスシーンアリナシも記載してほしい。一般向け漫画感覚で聞けてキャラが魅力的で普通に物語が面白いなら興味あるけど、セックスシーンはそこまでは求めてないというか、妄想の余地がなくなって萎えるんで。キス止まりまでがいい
匿名2番さん(1/1)
BLCDはここ2,3年でよく聴くようになったのですが、
紹介されている作品は少し前の作品が多い印象で、存じ上げないものばかりでした!
今の声優業界で大活躍されている方が出演されているのでとても興味はありつつも、ストーリーも重そうだしな、、と尻込みしておりましたが、この記事を読んで1歩踏み込んでみようかと思います!
匿名1番さん(1/1)
読み応えのある記事!たくさんの紹介ありがとうございます。まだ聞いたことのないCDを聞いてみたくなりました。
冒頭の画像⑦の作品タイトルと、記事9の木原音瀬先生のお名前表記が間違っているようです。ご確認ください。