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タイBL俳優のファンミに参戦したら、70代のマダムと仲良くなった話

2022/11/24 16:00

女子大生とマダム、BLが繋ぐ友情のかたち


~これは、タイBL俳優のファンミに参戦したら、70代のマダムと仲良くなったとある女子大生の備忘録である~

最近、17歳と75歳の友情が描かれたある映画が話題になりましたよね。


『メタモルフォーゼの縁側』の主人公である17歳の女子高校生・佐山うららは、75歳でBLにハマった老婦人・市野井雪に出会う。58歳の年齢差をものともせず、共通の趣味であるBLを通じて仲を深めていく二人。好きなものに年齢は関係ない!ということを認識させてくれる作品として大きな話題をよびました。

劇場まで足を運んだ筆者、年齢を超える「好き」という感情の偉大さについてしみじみと感じていたのですが、同時に筆者は思ってしまったのです。

……こんなことほんとうにあるの?

自分よりも何倍も生きていて、いろんな経験をなされてきた方が、筆者と同じような目線で好きなものを見つめ、抱く感情に共感してくれることはあるのだろうか……?

そんなことを疑問に思った半年後。ありました。

まさか筆者に年の差約50歳の友達ができるなんて……! それはとある俳優のファンでの出来事でした――(回想始まる)。

◆目次◆
1.全てはタイBL出演俳優のファンミから始まった
2.せっかくなんでペンライト、使いますか?
3.マダム、人生で初めての『推し活』
4.そして終演後……
5.  BLが繋ぐ最高の絆

 

 

私が参加したのは、11月上旬平日に開催されたとあるタイ俳優のファンミーティング。
そのタイ俳優は2020年に放送されたBL作品出演をきっかけに、世界的に活動する有名アーティストです。2020年よりずっと追いかけ続けてきた私は、彼の来日ファンミーティングの告知を聞きつけ、失神するような思いで「えまって、推しが来日する、やばい」と各種SNSで拡散したのを覚えています。

突然の告知、一か月後のファンミ。え、いやあまりにも唐突すぎんか。心の準備ができてないんだが。
幸せな愚痴をこぼしながら必死に日々の業務をこなしていました。

こうして運命の日はやってきたのです……!!!


ファンミ当日。

忙しい日々の合間を縫ってファンミに参加することとなった私は、自作のペンライト、うちわを鞄に忍ばせ、電車を乗り継いでようやく会場に到着しました。

あと数分後、2年間焦がれ続けてきた大好きな推しに会えるなんて……! 実感が湧かないまま、ふわふわとした足取りでついに会場に。ファンの熱気のせいか、やたらとスモークがかった会場内部に「い、いよいよか……。」とバクバク波うつ心臓。緊張しすぎて過呼吸寸前の自分に、末期オタクっぷりを感じる……。

そして、開演15分前。
そんな一人ハァハァと荒い呼吸を繰り返す不審者極まりない私の近く、慌てた様子で自分の席を探している一人のマダムが現れたのです。


あまり会場に慣れていない様子でスタッフに連れられた老婦人は、私の隣の席に着席すると「ごめんなさいね」と優しい声で話しかけてきたのでした。


 
隣に座られたマダムは、どうやらグッズを購入していないようでした。

「グッズって、会場内に入ってしまうともう購入できないのかしら……」

少し寂し気な様子で話しかけるマダム。グッズ購入場所は会場の外に設置してあり、そこに用意されている用紙に書き込まなければ購入できません。

タイBLファンの特徴の一つは、その年齢層の幅広さにあります。私筆者と同年代のファンはもちろんのこと、40代、50代、そして70代まで。数々のタイ俳優イベントに参加していた私はその年齢層の広さを実感しており、それは今回のファンミーティングでも同様でした。

せっかくのファンミなのに、ペンライトやうちわをイベント中に振れないのはもったいなさすぎる……!
私は今回出番を諦めていた自作ペンライトを鞄から取り出し、公式のペンライトを老婦人に渡しました。

「せっかくなんでペンライト、使いますか?」



 
「あらいいの!ありがとう!」

ペンライトを手にしたマダムは、嬉しそうにそういってくれました。大切そうにペンライトを見つめる彼女に、「念のため自作してよかった~」と珍しく自分の用意周到っぷりに感心する私。そんなほっこりとした空気感の中、マダムは続けてこう言ったのです。

「私まだこういうイベント事に慣れていなくて、タイBLが人生で初めてなの」



す、凄い……タイBL凄すぎる。

これまで推し活、オタ活をしてこなかった方々が、地方から海外からこの日のためにこの場所に集結しているということ。タイBLはこれまでオタ活とは無縁だった人間をも巻き込んでしまう強力な力があることを知ったのです。いやBLの力はんぱないって……。
マダムは自身が70代であること、数年前ひょんなことからタイBLに出会い、人生で初めてのオタ活をしているということを嬉しそうに話してくれました。そして、私とマダムはこの夏から秋にかけて、なんとほぼ同じファンミーティングに参加していたのです!!!!
タイBL作品の好みが全く一緒、好きな出演俳優も全く一緒。あまりにピッタリと重なる好みの感性に感動が止まらなくなった私たちは、開演までの15分間、ほぼノンストップでお互いの「好きなもの」について語り合ったのでした。

この時、私は『メタモルフォーゼの縁側』とあるシーンを思い出しました。
カフェでBL漫画を持ち寄り楽しそうにおしゃべりするうららと雪。まるで少女のようにはしゃぎながら、温かい雰囲気の中しゃべり続けるあのシーンと、今の状況があまりにも似ている……!!!
そうして私はタイBLを通じ、たまたま隣の席に座られていた素敵なマダムと友達になったのでした。

 
「ペンライト、ありがとう。」

素晴らしいパフォーマンスに夢中になってペンライトを振り続けていた私たちは、あっという間に過ぎ去った時間を惜しみながら席を立ちました。
会場の外に出る間も、互いに感想を語り合いさっきの夢のような出来事に想いを馳せていました。

ずっと画面越しに見ていた人が、実際に喋って笑って歌ってる……。本当に彼は実在していた……。
語彙力を失いIQが下がり切った私はそんなことを言いながら、会場の外でしばらく余韻に浸っていたのですが……。後ろの予定があったため、マダムとは一旦お別れすることに。

「すみません、私これから予定があって……。続きはまた後日、お話しませんか?」



その後、私とマダムはLINEを交換し、それぞれのオススメ作品を紹介し合うのが日課になっています。
タイBLを通じて新たにできた友人はたくさんいますが、彼女との会話は楽しさの中にどこか懐かしさがあって、通知が来るたびにほっこりとした気持ちにさせられるのです。それは、同世代の友人との間で感じる感情とは別の、柔らかくて温かくてどこか切なさを感じさせるような複雑なものでした。

これは個人的な話になるのですが、筆者の祖母は3年前に他界しており、最後にちゃんと別れを伝えられないまま突然いなくなってしまった祖母のことを想うと、今でも悲しい気持ちになります。
生粋のおばあちゃんっ子であった私は、大好きな祖母とマダムが重なって見える瞬間が訪れる度に、どこか懐かしく、切なく思うのかもしれません。


タイBLを通じて新たにできた友達。「好きなもの」は年齢を超えて、新たな出会いをもたらしてくれる最高のコンテンツなのかもしれません……!
これからも大好きなタイBLを愛でながら、たくさんの友人との出会いを楽しみにしていきたいですね。

オタクであることに誇りをもって、皆様もどうかそれぞれのオタクライフを楽しんでいってください♪


担当記者:令子
可哀想な受けを求めて、広く深くをモットーに生きる雑食闇属性腐女子。沼を開拓しすぎて自分自身を見失いがち。

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あらいい話〜!みゅがるはすごいな

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