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痛みに呼吸が止まる瞬間のエロス…闇堕ちが保証されたアンソロのすゝめ

なんだか病みっぽい表紙やタイトルだったので、「オッ!?」と思って手に取ったBL本。めくるめくダークな展開に高まるバッドエンドの予感。しかしラスト数ページで怒涛の救済ハッピーエンドに!? チクショー、でも幸せならOKです！ チクショー！

闇BLをこよなく愛する、闇BLファンの皆さん。推し(CP)の転落や死に直面し、涙を流しながら「愛しい……」と天を仰ぐことに快感を抱いている皆さん。こんな経験はありませんか？

そんな皆様に読んでほしい、闇オチ・闇堕ちが保証された闇系アンソロジー。今回は、錚々たる作家陣が固める、救いのないテーマのBLアンソロ7冊をご紹介します！

現世で結ばれぬなら、来世で。

『心中BL』

はらだ先生の手掛けるこの表紙を見てください、指をしっかりと絡め合い、幸せそうに微笑み合う彼らの堕ちる先は……。そして裏表紙には……。タイトルの通り、「心中」を扱ったアンソロジーです。

記者イチオシは安眠先生の「後ろの正面ひとりだけ」。死んだ男娼と恋仲だった男のモノローグで淡々と進む物語。どんでん返しにどんでん返しが待っており、こんな心中BLもあるんだという新境地を切り開きます。

彼らはどんな苦悩を背負い、「愛する相手と共に死ぬ」という選択をしたのか。心中と言えば王道の江戸BLもあり、小説もありと充実の一冊です♪

作品情報
究極の略奪愛。すべてを奪ってもキミがほしい――同性同士、身分の差、どん底の現状……。叶わない恋を、希望を、来世に託してキミと二人、今を終わらせよう。聖夜に贈る、最も不幸な恋物語――。
《comics》暮田マキネ、七菱ヒロ、桐式トキコ、安眠、菊の助、わかちこ、雁皮郎、恋煩シビト《novel》阿賀直己/itz(挿絵)

ヒエラルキーの頂点から引きずりオトされる

『転落男子』

「これが本当のフォーリンラブ！」って、上手いこと言ってるんじゃないわよ。
地位やプライドの高かった男たち、真面目な優等生君たちが、悪い男たちに騙され、理不尽な出来事に襲われ、色恋や欲望に身を滅ぼして転落していく様を鑑賞できる逸品です(暗黒微笑)。

まさにバッドエンドど直球な作品が盛り沢山で、身も心も陥落する男子たちのあられもない姿にゲス顔止まらん。鈍器のような分厚さもポイントです。

作品情報
真面目な生徒会長やお堅い検察官、プライドの高い社長、トップアイドルetc……。ブルジョワな彼らが罵られ、辱められ、跪く。これが本当のフォーリンラブ！
《comics》yoha、コモトミ裕間、ろむ、丸顔めめ、よしもと、usa、湯裸、木ノ実むじな、佐々川かのこ、皐月フミ、雨季野、小指、阿野温、エスマル、ときめき大殺界

最後の1日を、愛する君とどう過ごすか

『明日、死ぬ。』

明日死ぬ、そんな極限状態の中、CPたちがどのような最期を過ごすのか？ 切なすぎるテーマなのにどこか優しい、そんな空気感のアンソロジー。それは彼らが本当に愛し合っているからーー。

ファンタジーあり、幽霊あり、ゾンビ有り、自殺・心中ありで、どういう理由彼らが「明日、死ぬ」状況に置かれているのか？ という設定も、作家さんによって全然異なるのがポイントで、バラエティに飛んでいて面白いです！

作品情報
明日、死ぬ。と知った時、人は最後に何を思うのか。誰に会いたいと思うのか、何を告げたいと思うのか、何をしたいと思うのか……。そんな切ないストーリーが詰まった珠玉のアンソロジーが誕生。
《comics》あかねソラ、秋月壱葉、甲斐 、オトノアヲ、ユリィ、眞山りか、青井秋、RUKU

SM、鬼畜、傷跡、ヤンデレ、禁忌…

『痛いエロ』

とにかくボコる、縛る、犯す。見ているこちらも胸がヒリヒリと痛くなる、精神的にも肉体的にも「痛い」一冊。痛みでしか繋がれない彼らの行く末を描くメリバ作品が多く、中にはハピエンっぽい作品もあるけれど「でも殴ってるよな……？」とイチモツの……いや、一抹の不安が残ります。　

先生方が1ページで「痛いエロ」に対する愛を語ってくださっているコラムコーナーには、「蹴られたときに痛みで呼吸が止まる瞬間!! 最高のエロスですね!!(byススグ先生)」などと結構ニッチな萌えポイントも主張されており、こちとら頷きすぎて首がもげそうです。

作品情報
肉体から精神まで多種多様な痛みをエロに織り込む、ショートストーリー漫画と萌え語りエッセイ。痛ければ痛いほど、エロスが滲んでくる！ 心臓が破裂しそうになるほど胸がしめつけられる痛いエロ、あなたにお届けします。
《comics》恋煩シビト、楢崎ねねこ、赤星ジェイク、市川けい、嶋二、木村ヒデサト、紺色ルナ、キサユキ、神楽坂はん子、サガミワカ、梶本レイカ、井戸ぎほう、山田ロック、いさか十五郎、ユムコ、佐崎いま、赤崎 友紀、エマオ、森世、たらつみジョン、筈ニッコ、ススグ、まめむ、プルガリア、にっく、プルちょめ、カス、羽澄しろ、すなこ、ゆのぱんちゃこ

歪んだ愛を極めたメリーバッドエンドアンソロジー

『病みBL』

殺人、死姦、カニバといった猟奇的な作品や、執着や共依存など、関係性が歪みすぎている、まさに闇も病みも詰まったBLのダークサイド博覧会。

記者オススメは原作：綺月陣先生、漫画：山本小鉄子先生による「アネモネ」。両親に捨てられた兄弟の歪んだ共依存関係と壮絶な結末を耽美に描きます。

今回ご紹介する中では最も古い2013年に刊行されており、当時は「こんなヤバいBLがあっていいのか!?」とBL界に衝撃を与えた問題作。なんだかんだ一番過激かもしれない。

作品情報
『病みBL』のタイトルの通り、愛するが故に心を病んでいく男たちの「究極の愛」をお楽しみ下さい。
《comics》紺色ルナ、倫敦巴里子、綺月 陣×山本小鉄子、タカハシマコ、SHOOWA、タクミユウ、大島彰子、黒田 屑、麻生ミツ晃《novel》六青みつみ/緒川千世(挿絵)

心中あり！ カニバあり！ BL×ゾンビというお得ジャンル

『BL・オブ・ザ・デッド』

体が自分ではない何かに侵食されていく不可抗力の中、最後の意志として「好きな人と一緒にゾンビになる」という道を選ぶ。そんな絶望を生み出せるのが、そう、ゾンBLです。切なすぎて読んでいる方も「ウゥ……ウガァ……」とゾンビのような声が出てしまう。

そんな中、意外とハッピーな作品もあったりするので、この記事に迷い込んでしまった闇BL初心者の方がもしいればチャレンジしてみてもいい……かもしれない!? ホラーって一周回ってコメディーになったりするじゃないですか。あれです。

作品情報
ゾンビ好きの方にも、ちょっと苦手という方にも、ゾンビがいる世界で繰り広げられる、究極のラブストーリーを……。
《comics》ホームラン・拳、木村ヒデサト、野萩あき、日乃チハヤ、加藤むう、カシオ、街野舎犬、雨水龍

啼かせられるものなら、啼かせてみな。

『極悪BL』

BLに登場するワルい男って、どんなにクズ男でもなんだかんだ憎めないイイ奴だったりするじゃないですか。でも安心してください、こちらの『極悪BL』に出てくる男たち、マジの極悪です。倫理感終わってます。

ピュアな受けを徹底的に陥れるクズ攻めでもいいし、因果応報的に自分が地獄に落ちてもいい。極悪男子たちが美味しく調理された胸糞BL集です。死ネタもありますので閲覧注意！

作品情報
ワルい男たちよ、啼け。極道・クズ・ヤンキーなど、最低最凶の恋とエロスのアンソロジー。
《comics》浅井西、犬神スケキヨ、kayama、桐式トキコ、多田基生、天河藍、七菱ヒロ、みづい甘《novel》阿賀直己/松吉アコ(挿絵)

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いかがでしたでしょうか？
今回は、過激すぎて単行本ではお目にかかることの少ない闇BLを扱ったアンソロジーをご紹介してきました。

【ヘキ持ちは挙手！】メスイキ熟れおじ、筋肉パパ……こんな萌えが欲しかった！BLアンソロジーマニアック編6選でも、特殊性癖BLアンソロジーを取り上げているので、よろしければ一緒にチェックしてください♪

担当記者：廣井無名 完全には幸せになれないCPが好き。キーワードは死ネタ、愛のないSM、流血、狂気、宗教、叶わない恋など。