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愛し合うと死ぬ!?オメガバースに続く○○バースまとめ
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2021/05/18 12:00
2023/03/26 16:00
小学生の頃に読んだ『No.6』に興奮し、現代文の授業中、夏目漱石の『こころ』に胸をときめかせ……一般小説の中に漂うあの「匂い」に、白シャツから覗く鎖骨的なエロスを感じるのは筆者だけでしょうか。足繫く図書館に通い、匂う小説を血眼で漁ったものです。
そんな「図書館で読める匂い系BL」を摂取したい! という皆さ~~~ん! お待たせしました!!
近代から現代、ブロマンスからエロありまで……数々の「匂い系」作品を網羅したガイドマップを大公開! ジャンルごとにおすすめの作品も紹介しているので、ぜひ「匂い系」作品を探す際にお役立てくださいね♥
図書館で読める、古今東西BLっぽい一般小説マップはこちら!
商業BLでもこの先生の作品は絶対買う! という「作家買い」があるように、この作家の作品は図書館BL的にハズレなし! という「作家買い」があるんです。
その代表が、その道では知らない人のいない長野まゆみや皆川博子。少年をモチーフに、匂い系から同性愛まで、耽美な作品をたくさん書かれています。迷ったら、こちらの先生方の作品を、どのタイトルでも良いので手にとってみてください。
他にも『NO.6』のあさのあつこ、『月魚』の三浦しをん、『ネバーランド』の恩田陸、『李歐』の高村薫など、匂い系~同性愛文学で名高い作家さんの作品も作家買い必至です。
おすすめポイント
18世紀ロンドンの、解剖学者とその弟子をめぐるミステリー。研究のために遺体を仕入れたところ、見覚えのない残虐死体が混入……それにはある詩人志望の少年の運命が絡み合っていて……というストーリー。リアルに描かれる当時の空気感や社会の中、ひっそりと紡がれる男同士の恋が切なく、美しく描写されています。続編もチェック!
岩波文庫の赤帯(ピンク)は外国文学のジャンル。特にドイツ文学、イギリス文学は要チェック!
ドイツ文学といえば、いにしえのBL好きは「ギムナジウムもの」、とピンと来るのではないでしょうか。『デミアン』や『車輪の下』などで有名なヘルマン・ヘッセは、「思春期の少年の同性に対する憧れや劣等感」が大得意。
また、地位も名誉も持ったおじさんが旅先で美少年に恋をする『ヴェニスに死す』の作者トーマス・マンも同じくブロマンスの名手です。
欧米文学もマーク・トゥエインの『不思議な少年』、オスカー・ワイルドの『ドリアン・グレイの肖像』と、美少年・美青年が登場する匂い系が多いです。
古代ギリシャ・ローマものでは、古代ローマの性風俗と美少年奴隷と2人の青年の三角関係を描いたペトロニウスの『サテュリコン』があります。
友達に憧れすぎて盲信してしまう
おすすめポイント
戦間期のドイツ、固定的なキリスト教観や社会規範の下で、少年シンクレールが魅惑的な同級生デミアンとの交流の中で自我を確立し、成長していく。シンクレールはデミアンに陶酔したり反発したり、複雑な愛憎を抱えながらも彼に惹かれていきます。ノーベル賞作家による怒涛の心理描写に……萌えます!
ラストの×××なシーンは必見ですよ! 「最後まで読んできてよかった〜!」となるはず……♪
岩波文庫「緑帯」の日本近現代文学もまた、夏目漱石『こころ』や森鴎外『ウィタ・セクスアリス』、小林多喜二『蟹工船』といった、匂い系や部分的に男色や同性愛を描いた作品が少なくありません。
また、これらの作品は著作権切れの文学が無料で読めるサイト「青空文庫」で楽しめることも多く、岩波文庫には収録されていない堀辰雄『燃ゆる頬』なども見つかります。
岩波文庫や青空文庫にもない、もう少し新しい時代の日本文学も見逃せない! 三島由紀夫をはじめ、森鴎外の実の娘で耽美小説の名手森茉莉など、同性愛を描いた作品は数多く。以下の2冊は特にオススメ!
キュンキュン切ないプラトニックラブ
おすすめポイント
汐見茂思という早逝の青年の、2人の男性・女性との恋愛を描いた作品。前半の後輩男子・藤木忍とのプラトニックラブに注目!
表紙にもなっている、船上でオールをなくし、夜の湖を2人で彷徨っているシーンが至高! 吊り橋効果のような不安の中、2人きりで心中さえできそうな甘いひと時に、息の詰まるような切ないドキドキ感が堪りません……!
戦時下の陸軍幼年学校で年の差ラブ
おすすめポイント
太平洋戦争のもと、陸軍幼年学校に入学した省治が、上級生の源のお稚児さんになり××なこともする仲に。やがて自分も上級生になり、下級生に熱い視線を送ることもありましたが、終戦後源と再会し2人である決意をします。
ラストシーンは圧巻で感情が爆発! 省治と源の心の強い結び付きが尊いです。
日本史上の実在の人物で、織田信長×森蘭丸、弁慶×源義経、足利義満×世阿弥などの王道CPの作品は、尊い主従関係や男色シーンを描いている確率高し。
日本のみならず、周瑜×孫策を耽美に描いた藤水名子『赤壁の宴』といった、三国志などの中国史や、マルグリット・ユルスナール『ハドリアヌス帝の回想』など、少年愛文化の名高い古代ギリシャを扱った作品も要チェックです。
美少年による濃厚な“ご奉仕”
おすすめポイント
世阿弥が少年時代に役者として名を馳せてから大人になって能を大成していくまでの一代記が、弟・竹の視点で描かれます。ある時突然男に「ご奉仕」させられることになり逃げ帰ってきた竹に、世阿弥こと少年藤若が「最初の痛みは我慢していれば慣れる、愛する相手なら痛みもよろこびに変わるものだよ」……と諭す姿に、色々と想像せざるを得ません。
ミステリー、サスペンス、ホラー小説などにも意外とニアBLが潜んでいます。探偵小説はバディものが多いですし、美青年の持つ“凄み”がミステリーのゾクゾク感と親和性が高いこともあるでしょう。
江戸川乱歩や赤江瀑の作品は、未だBLという概念がなかった時代のいわゆる「腐女子」たちの愛読書だったとか。三大奇書と呼ばれる中井英夫『虚無への供物』にも妖しげなゲイの美青年たちが登場します。
海外ではイギリスのパブリックスクールを舞台にいじめられっ子と美少年の耽美な交流を描いたホラーサスペンス『霊応ゲーム』がオススメです。
呪いのパブリックスクール
おすすめポイント
名門パブリックスクールに通ういじめられっ子の少年・ジョナサンが、一匹狼の美少年リチャードと親密に。クラスで一目置かれる彼と仲良くしていることに優越感を得るジョナサンですが、いじめっ子たちが不可解な事件に巻き込まれていくのにリチャードが関わっているようで……? 教師との恋愛がバレて放校になった過去の生徒のエピソードなどもあり、パブリックスクールの中の同性同士の恋や軋轢の空気感が本場の作者の文章で楽しめます!
『古典BL小説集』『ゲイ短編小説集』といった特集本は、読みたいジャンルの本が効率的に楽しめるだけでなく、そこから芋づる式に作品や作家を知ることもできます。
幻想文学系のキーワードに関連する小説を集めた『書物の王国』シリーズは、「同性愛」「美少年」「両性具有」など、ざっと見るだけでもワクワクするラインナップ。ちなみに編者の一人須永朝彦も『天使』など耽美小説を書いています。
ここまで「図書館で読めるBL文学」の探し方をご紹介してきましたが、平成〜令和の文学シーンでも次々とブロマンス・ゲイ小説が生まれています。特に西野浩司などのゲイ文学の名手が登場したり、最近では千葉雅也『デッドライン』が芥川賞候補となり話題となったりました。(「ゲイの大学院生のアイデンティティの揺らぎを綴る話題作『デッドライン』」)
今回ご紹介した作品以外にも、ネットで「BLっぽい文学」「ゲイ 文学」「ブロマンス 小説」などのワードで検索すると、求めている情報が出てきます。
ちるちるでも匂い系、同性愛の一般小説は何度かご紹介していますので、そちらもぜひ参考にください♪
それでは良き「図書館BL」ライフを!
2023年3月27日(月)追記:記事内に一部誤りがございましたので、訂正いたしました。ご迷惑、ご混乱をお招きいたしましたことを心よりお詫び申し上げるとともに、コメントにてご指摘いただきましたことを厚く御礼申し上げます。
担当BLソムリエ:廣井無名 |
コメント7
かりんていんさん
マーク・トウェインがイギリス文学者だなんて!
訂正して下さい。
にしても、デーミアン、私は子供の頃から繰り返し読んだ1番好きな小説だが、ブロマンスとか思わなかったし今も思えないですが。
匿名5番さん(1/1)
ジョナサンケラーマンのグラスキャニオンとか(実際に似た事件があったと知って泣いた)、ジェイムズエルロイのビッグノーウェア(LA四部作お馴染みの描写で〇〇した時クソ泣いた)とかもおすすめです。昔の作品だし考え方や描写がちょっとアレかもですが一応。
匿名4番さん(1/1)
日本神話からして性別ない神様がたくさんいたり、日本の古典や歴史ってBLネタの宝庫なんだよね。なにげに。
衆道という日本文化もあるしね。神話ネタのBLとか面白そうじゃない?
昔は同性愛がかなり大っぴらだったらしいから、史実通り堂々と同性愛やってる大河ドラマとかみてみたいわ。
匿名3番さん(1/1)
エロありが結構あってびっくりしてます…
右端に行くほど男同士のエロ描写が濃くなるの??
匿名2番さん(2/2)
修正及び追記
「フロント・ランナー」パトリシア・ネル・ウォーレン
トルーマン・カポーティ「遠い声、遠い部屋」
沼田真佑「影裏(えいり)」
マイケル・ナーヴァ「このささやかな眠り」
匿名2番さん(1/2)
追記・表にないため備忘録
「傾く滝」杉本苑子
「ムーンリバー」栗本薫
「笑えよ」工藤水生
「ジェントルマン」山田詠美
「君の名前で僕を呼んで」アンドレ・アシマン
「ブロークバックマウンテン」アニー・プルー
「フロントランナー」パトリシア・ネル・ウォーレン
「ベント」マーティン・シャーマン
「真夜中の相棒」テリー・ホワイト
匿名1番さん(1/1)
トーマス・マンの作品、『ヴェニスに死す』だと思ってた。