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「愛はすべて平等である」、美しい写真に隠されたインドの現実

世界各地で広がるプライドキャンペーン。虹色の旗を掲げて、LGBTQへの寛容性を唱えるパレード活動の様子は、どこかで目にしたことのある方も多いのではないでしょうか。日本でも、ジェンダーや性的マイノリティをテーマにした映画・ドラマ作品などが制作され、少しずつ多様性のある社会へと変わり始めています。そんな国際的な風潮の中、とあるインドのアパレル会社の挑戦に注目が集まっています。

TORANIはインドのアパレルブランドで、デザイナーのKaran Toraniが幼少期に聞いたインド寓話をモチーフにしたデザインが特徴です。

さらに、コレクション別の宣材写真の芸術性の高さも人々の関心を引き付ける要因の一つとなっています。この秋に発表した「Secret of Unsung Love」というテーマのコレクションは、美しい男たちを起用した耽美な仕上がりになっており、公式Instagramで公開されると「永遠に見ていられる」と話題です。

「Secret of Unsung Love」とは、直訳すると「詩歌にならない愛の秘密」。多くの写真では、静かな雰囲気の中、華やかな民族衣装に身を包んだ男性二人が寄り添う様が捉えられています。

今や地球で一番人口が多い国として知られているインド。同性愛への偏見が根強く残る中、TORANIが掲げるコンセプトは、社会に一石を投じるものです。

2017年に個人的に結婚式を挙げた女性カップルは、同性と結婚式を開いたことを理由に仕事上の差別を受けたり、近隣住民からの嫌がらせに何度も屈辱的な経験をしたといいます。
2018年9月6日にインドの最高裁判所が違憲だと認めるまでは、「同性同士の性行為」は法律で禁じられ、刑罰の対象でした。実質上、同性愛が犯罪ではないことが証明され、性的マイノリティの自由は果たされたかのように思われました。しかし、同性愛者のカップルに対する迫害は続いています。

インドで最も有名なゲイ、マンベンドラ王子はこう語ります。「カミングアウトしたら、無理やり結婚させられたり家から見放されたりする。一方で家族も多くのプレッシャーに直面する」。このように、インドでは性的マイノリティに属する人達に逃げ場が無いといいます。当人も2006年にゲイであることをカミングアウトしたことで、母親との仲が険悪になった経験があると話しています。

王子は根強く残るLGBTQの人々に対する迫害に危機感を強め、2018年から宮殿を改造し彼らの受け皿とする計画を進めています。そして、LGBTQの人々の抗議活動や、王子の精力的な取り組みが後押しとなってか、少しずつ「同性愛者も異性愛者と違いはなく、同じ社会に生きている」という意識が広がりつつあります。
 

そして「Secret of Unsung Love」というテーマの下撮られた写真は、まるで来るべき祝福の日を待ちながら、大切に愛を育む二人を描いているかのようです。交わる視線や、抱きしめた腕の切実さに思わずうっとりしてしまいますよね。

美しい写真の裏側には、厳しい現実があります。しかし、画面の向こうから伝わる“確かに強い愛”に触れるところから、世界は変わっていくと思います。
詩にうたわれなかった愛のかたちに思いを馳せてみてはいかがでしょうか？
物思いが止まらない夜にぜひ、覗いてみてください。