~メリバ・バドエンに心を掴まれた者たち編~
突然ですが、筆者はBL好きの友達がほぼいません。というのも、筆者は恐らくBLの好みが人とは若干ずれているマイノリティ……
「闇のBL戦士」なのです。
・人からのおすすめが大体しっくりこない
・ランキングを信用できない
・これだ!と思える作品が少ない
に、当てはまる人は筆者と同じ闇のBL戦士の可能性大。
ということで、少しでも我々闇属性オタクの生態を楽しんで頂けたら幸いです!
人の数だけ性癖は存在しますが、今回はメリバ・バッドエンドに心を掴まれてしまった孤高のちるちるスタッフを集め、自身の性癖を語り合ってもらいました! 大丈夫、ここに仲間がたくさんいます。
私はこれで闇落ちした
May:まず皆さんの闇落ちしたきっかけを知りたいです!
自分は『
間の楔』に人生を狂わされた女なのですが、BLデビューは『
ファインダーの標的』だった気が。王道作品から入る方は多いはずなのに、一体いつどこで王道ではない闇展開に心惹かれるようになってしまうんでしょう?
ホシノ:私は『
ダブルミンツ』でした。
いくら:『
カーストヘヴン』から闇BLを読み漁りました!
たまち:お二人は最初からガッツリダークですね。私は商業BLではなく、魔法少女アニメで
主人公が命の危機にさらされるシーンが好きで……今思えば「闇落ち」の瞬間ですね。
こんぬ:自分も商業BLではなく、二次創作のモブレBLでした。
廣井:私は古の少女漫画ですね。
May:少女漫画から……!?
廣井:
花の24年組と呼ばれる1970年代の作家群があって……『
風と木の詩』の竹宮恵子先生や『
トーマの心臓』の萩尾望都先生など、闇&死ネタBLマシマシの時代なんです!
好きな闇シチュを自由に語ってください
いくら:
心中!!! 死ネタ!!! いいですね!!! 結局死が究極の愛の永久保存的なとこありません……??
こんぬ:
分かります! 私はだからこそ、死は場合によっては救いになってしまうこともあるので、社会復帰出来ないまま苦しみながら生き続けるのが理想です。キーワードは「暴力」「死ネタ」「バッドエンド」「トラウマ」ですかね……。暴力や悪意とは無縁そうな受けが理不尽に心身ともに酷い目に遭って、攻めも奮闘するけど結局救えない、みたいな。
May:具体的! そして
業が深いですね。
こんぬ:
あとは「完遂されるモブレ」です。モブレの果ての死ネタも好きです。モブレの途中で攻めが助けに来てしまうのが一番萎えますが、駆けつけたけど間に合わなかった……系は好きです!廣井:
モブレから始まったBLライフの原点回帰ですね! ……私も受け攻めどちらかが苦痛や恐怖を覚えて、泣いちゃったり吐いちゃったりするエロLOVERです。あとは信奉する相手のために命を投げ出す、カニバなどの猟奇的な愛、殺したいほどの憎悪からの歪んだ執着などが好きです! クソデカ感情拗らせ執着がフェチです。たまち:
執着はいいですよね〜。私は可哀想な受けが好きなのですが、最近一途すぎて異常を感じる攻めも好きになってきました。あとはトラウマ、フラッシュバック、OD、自傷行為、死ネタなどです。自分を痛めつける系が好きかもしれません。
メリバ・バドエンを求めてしまう謎
May:なぜ我々はメリバ・バドエンを求めてしまうのでしょうか。
こんぬ:「可哀想なのが一番心ときめくから」としか言えなくてすみません……。
廣井:色々ありますね。
泣き顔が見たいとか、痛みにエロスを感じるとか。
いくら:私はいつも本能で求めてたのですが(笑)、BLに求めているものがエロよりもストーリー重視なのと、
終わりもストーリーに沿っていれば無理やりハピエンにする必要がないからと考えているからかも……という気がしてきました。
廣井:そうですね、やっぱり闇BLファンはスト重派が比較的多いような気がします。ご都合主義じゃないストーリーを求めてるのかも。
ホシノ:決して不幸になってほしいわけではないんですけどね~……。
たまち:逆に、メリバ・バドエンを好まない人は「そういうのはBLで摂取しなくてもいい」という感じかもですね~。
BLに求めるものが「ストーリー・関係性」か、「癒し・萌え・エロ」かの違いでしょうか?
May:めちゃくちゃ腑に落ちた!!!!!!! BLだからこそ描ける重厚なストーリーもあるし、BLだからこそ描けるポップなエロもあるんだ~! みんな違ってみんないい……中には地雷・苦手分野もあるけどそれも人それぞれの個性だと思ったら尊重できますね!
道徳の授業みたいになってしまいました。
メリバってモヤモヤしない?
廣井:メリバってあまり馴染みがない方も多いかもしれませんが、最近で言えばアニメ化で話題になった『
BANANA FISH』なんかがメリバに入るかもしれません。
May:読み手がどんなに悲しくても、本人たちにとってはそれが最適な幸せの形……とはいえ、正直モヤモヤすることもあるんです。寝る前にふと、ハッピーエンドを迎える二人を想像し、でも、なんの障害も無く幸せに暮らしているところを想像してもしっくりこない。となると、
「ああ、やっぱりあの結末しかないんだ……」と改めて思い知らされるんですよね。
ホシノ:そういえば、闇BLファンってドMなのかドSなのかどっちなんだと思います?
廣井:これ、気になってました。闇BLファンが闇BLを読んでいる時って、
CPが苦しむ姿を見て楽しんでいるのか、
辛い展開に心が削られる感覚がクセになる〜! なのか。
こんぬ:そうですね、CPが苦しめば苦しむほどこちらとしては元気が出るので、あまり自分が苦しんでいるという意識はないです! ドSタイプです。
いくら:ゲスくていいですね〜! 私はどちらかというとドMだと思います。読んでるとき一緒に辛い〜ってなりつつもそれを楽しんでいるので。
たまち:私はどっちものような気がします。辛く苦しい境遇にある二人を見て自分の胸が痛むのがクセになる感じはあるのですが、その反面
もっと堕ちるところまで堕ちてくれ~~~! とも願っちゃうので……。
ここが困るよマイノリティ
【同志がいない】いくら:私もBLが好きな友達ゼロですよ!
ホシノ:いることにはいるけど、作品をおすすめし合ったりはないですね。
May:よかった~! 私の人格の問題じゃなかった。
【ヒットする作品に出会えない】
ホシノ:そもそもこのジャンルは作品数が少ないですからね……。レーベル買いしていた時期もあります。OPERA、麗人、Cannaとか!
いくら:ひたすら検索するんですけど、メリバ・バドエンと知らない状態で出会いたいのでもうどうしたらいいのかわからないですね。
【魅力を伝えづらい(ネタバレ厳禁なので)】May:似たようなところだと、展開の読めなさと衝撃がメリバ・バドエンの醍醐味なので、一番伝えたい魅力がそこなのに、
ネタバレ厳禁なのでぼんやりした勧め方しかできないんですよね。
こんぬ:「とにかくいいの! まず読んで! 最後まで読んで! お願いします!」しか言えない。つらい。
【バドエン詐欺に引っかかる】イクラ:表紙からアンニュイな雰囲気プンプンの作品でも、近年の光ブームの影響か
途中まで暗くても最後はハッピーみたいな感じで終わるものが多く……「ですよね!」となることも(笑)。
たまち:商業以外でも、大団円と見せかけていきなり味方が殺される展開(伝われ)が好きすぎて、バトル系の少年漫画とか読んでいるとすぐそういう展開を期待してしまいます。ただ大体普通に幸せに終わるので我に返りますね。
【ランキングが信用できない】
廣井:知る人ぞ知る闇の名作は、ランキング上位にはなかなか上がってこないものも多いですよね。
May:最終的には
自分の勘に頼るしかない孤高の戦士。何を目指してるの? ってくらい年々屈強になりつつあります。
ひと目で分かる! ハードレベル分布表
初心者の方にも身構えず触れて頂けたら嬉しいのですが、かといって急にハードなものを摂取すると心臓に悪いです。(それで覚醒する場合もありますが……)ということで、独断でメリバ・バドエンコミックスの分布表を作ってみました!
***
メリバ・バドエンくくりでまとめておいて言うのも変ですが、BLってなんだかんだジャンルで決められない所が多かったりすると思うんです。「これ系のジャンルは好きだけど、う~ん……」とか、「苦手なジャンルだけど、これは好き! 」とか。
つまりは偶然の出会いが大事だったりするのです。「興味はないけど見てやったわよ! 」「ミスって開いちゃった」なんて人たちにとっても、良い偶然の出会いがあったら嬉しいです。
コメント6
匿名7番さん(1/1)
男性同士の恋愛もののBLだと、文芸評論としてはどういう構造をとるのか、ちょっと気になります
村上春樹はなぜ「女の子の死」を書くのか
https://globe.asahi.com/article/11629510
川田宇一郎
「100%の恋愛小説」
村上作品では人の死、中でも特に「女の子の死」がよく描かれる。なぜなのか
村上春樹は1987年に発表した長編「ノルウェイの森」に、自らの発案で「100%の恋愛小説」というキャッチコピーをつけました。一体なぜ、「100%」なのでしょうか。僕の考えでは、その理由は臆面もなく「女の子が死ぬ恋愛小説」だからなのです…
「ヒロインは、なぜ殺されるのか」
田嶋 陽子
自分の生き方を模索し、自立して生きていこうとするヒロインたちが、みな死んでいくのはなぜなのか!? 女はどこに被害届けを出せばいいのか!?
「赤い靴」「ベティ・ブルー」「存在の耐えられない軽さ」など、10本の映画の中の、これまで見過ごされていた「男社会」の勝手な「女性観」と、女性抑圧のかたちを読み解く
女の子を殺さないために: 解読「濃縮還元100パーセントの恋愛小説」
川田宇一郎
恋愛小説はなぜ女の子を殺してきたのか。村上春樹作品に流れ込んだ「女の子殺し」のコードを解析し、書き手たちが「セックスと女の子」を物語に埋め込んだ秘密とメカニズムを探る
文芸作品の「ヒロイン殺し」は、文芸評論のテーマとしての分析が他にもいくつかあります
匿名5番さん(1/1)
OPERAは確かに闇BL代表レーベル感ありますね!笑
個人的にはアワードのDEEP部門に当たりが多いので、普段のランキングよりアワードのノミネート時期が一番楽しいです。
今年はどんなDEEP作品がノミネートされるのか、今からワクワク♪
匿名4番さん(1/1)
分布表の作品いくつか読んだことあるのが入ってるけど、『花のみやこで』ってメリバ・バドエンなのかなぁ…
匿名3番さん(1/1)
私も「闇のBL戦士」の三大特徴に当てはまります~!!
>匿名1番さん
筆者自身が「少数派=変」って思ってるんじゃなくって、世間では「少数派=変」と思われがちみたいだけど(そういった書き込みや意見を実際に目にしたのでは)、筆者自身はそれを否定したい、という意図でこの記事を書いてると思います。
匿名2番さん(1/1)
メリバ・バッドエンド好きはさほど孤高ではないと思います。BLでは少ないからでしょうか。もっと屈強なジャンルを想像してただけに物足りない(笑)
BFは最大のネタバレだからやめたげて…今更か。
匿名1番さん(1/1)
記事の内容自体に疑問を感じます。
>少数派だけど、変=悪じゃないのよ!
というのが象徴的ですが、これって
・少数派=変
って認識で書かれているんですよね?
少数派は変なんですか?
言葉尻を捉えているのではなく、マイノリティ=変という認識はあまりにも危ういと思います。
しかも、記事全体がその認識に基づいて書かれているのに愕然としました。
ちるちるは、掲載する記事についてのコンプラはどうなってるんでしょうか?