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愛し合うと死ぬ!?オメガバースに続く○○バースまとめ
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2019/10/27 13:18
BL界隈にいるとよく耳にする「お耽美」という言葉。そもそも耽美とは何だろう? というテーマはちるちるでも度々議論されているようです。
「耽美系とは何か」…雰囲気は何となくわかるのですが、考えてみると意外と難しい! そこで、あくまで諸説あると思いますが、記者個人の「耽美」のイメージを挙げてみようと思います。
繊細な絵柄
彩度低めのカラーリングに、丁寧な線で描かれる中性的な美男子たち。睫毛バサバサで、薔薇が散ってるイメージです。
美男子同士
最近のBL作品には筋肉質な肉体美男子や親しみやすい冴えない男子も増えていますが、耽美といえば線の細い美青年or美少年ではないでしょうか。特に「少女と見紛うような」と描写される中性的なキャラが好まれることが多い気がします。
陰鬱な雰囲気
「耽美」と聞いて明るい作品を思い出す方は少ないのでは? 全体的に仄暗く、時には暴力や死ネタも容赦なく入れてくるので、読後感の重さはつきもの。でもそれがクセになる…。
背徳感
執事と旦那様、実の兄弟…「禁断の恋」というワードがよく似合います。この人を愛してはいけない、という葛藤に悶える男が色っぽいんですよね!
ねっとりエロ
忘れてはならないのが濃厚なエロシーン。官能小説顔負けの台詞回しによる言葉責めと、艶めく体がまぐわう淫靡なイラストレーションのダブルパンチ!
「耽美」と一緒に耳にすることが多い「JUNE」「花の24年組」などのワードはどれも数十年前のものたちで、そもそも同性愛自体が「禁断の恋」として描かれていた時代はもう古い…それに昔はBL=耽美だったことも。では「耽美」は死んでしまったのでしょうか? 決してそんなことはありません! 時代と共に進化し、今に息づく耽美ーー名付けて“ネオ耽美”作品を、記者の独断と偏見により選んでみました!
あらすじ
「光る薔薇」を研究する葛ノ葉は、資金援助を申し出てくれた蜂須川という男の屋敷へ赴く。だが、そこは幼い頃、初恋の少女に失恋した苦い思い出の場所だった。しかも、彼女と同じように《薔薇を食す》蜂須川の姿に、彼が初恋の相手だったと知る。『花を喰らふ者』の蜂須川から、葛ノ葉の開発する「光る薔薇」を食べるのが夢だと告げられ、彼のもとで研究することに決める葛ノ葉。だが、蜂須川の背負う運命と、彼を知るごとに芽吹きそうになる気持ちに葛ノ葉は——…
考察
「花を喰らふ者」「光る薔薇」…何と耽美な響き! こちらの短編集の表題作が花園に囲まれた名門のお屋敷、少女のような儚い美少年と、耽美の条件を備えた作品となっています。ビリー・バリバリー先生の繊細なイラストがため息の出るような美しさ。ちょっとしたファンタジー要素がまた、ミステリアスな感じで◎。美人お兄さんに押されるぶっきらぼうキャラ、良いですよね♥
あらすじ
駆け出しのタトゥーアーティスト・夕路の元に舞い込んだ一件の依頼。それは、美術界の巨匠・泰泉の名画をミチルの体に彫るというもの。
泰泉が囲い育てた専属モデルのミチルは、顔、体、その存在自体がまるで芸術品のように美しかった。美人ゆえの傲慢さを身に纏ったミチルだが、浮世離れした環境で育った彼は純真無垢で、少年のような愛らしい一面も持ち合わせていた。 ミチルの白く艶めかしい体に墨を入れる瞬間、夕路は自分の中で沸き起こる欲望の気配を感じた。“外もナカも、彼に俺を刻み付けることができたら――…”
慈愛溢れる肉食系彫り師×巨匠に飼われる無垢な美青年モデルの歪な箱庭で育まれる美しい愛。
考察
無垢な美青年モデルと彼を描く老画家という耽美すぎる設定。鹿島先生の繊細なイラストレーションで描かれる美青年の、この世の者とは思えない美しさに思わず感嘆。これです、まさに「性を超越する規格外の美男子」が登場するのが耽美! その柔肌にタトゥーを入れるというロックさがマッチしてまさに2010年代の耽美の趣のある一冊です。9月に発売された鹿島先生の『革命のα』も要チェック♪
あらすじ
「僕の執事になって欲しい」
ドイツ旅行中の須蛾子爵に請われ、国を捨て彼の忠実な僕となったコンラート。
「男娼」と噂されるが、互いへの愛の"高潔さの証"として決して交わろうとはしなかった。
だがある晩、コンラートは怪しげな屋敷に連れて行かれ、主人の欲望を満たすために目前で、「醜悪な痴態」を演じることを強要される…!!
描き下ろし32ページを加えて、華麗なる性の饗宴が開幕する。
考察
ダウナー系耽美の真骨頂ともいえるこちらの作品。背徳、サディズム、美しい男…耽美の条件を難なくコンプリートする正統派です。
すごいのはワードチョイス! 「さあ、見せておくれコンラート 金色の陰毛の下のみだらなペ◯ス いやらしいお前の穴という穴」「旦那様 ああ…其処をもっと埋めて下さらないと…」この官能小説顔負けのモノローグ。指の隙間から見たくなるような淫靡な描写に溺れたい♥
あらすじ
大学入学を目指し、ある屋敷に下宿することになった進藤明文。自由に使っていいと離れに案内されたがただひとつ、「裏庭の奥の薔薇園に近づかないこと」を約束させられる。しかし、風に混ざり聞こえる不審な音を追えば薔薇園に辿りつき、誰もいないはずのそこには見目麗しい青年が佇んでいた…。
考察
お屋敷の薔薇園に潜む美青年に誘惑される…という設定だけで、う~んこれは耽美! 金髪色白の男の子が表紙なので一見、舞台は西洋かな…? と思えるのですが実は大正(?)浪漫。表紙のキャラはは西洋人と日本人のハーフです。実は太古の昔から、西洋と東洋、西欧と東欧などのハーフキャラは耽美作品に頻出! 二面性があってミステリアスな感じが耽美の雰囲気にマッチするのでしょうか。
あらすじ
いっそΩ(オメガ)に生まれればよかったのにーー
麗しい見目に、控えめな性格。周囲から散々そう言われてきたαのノアが出会ったのは、宮田 一(みやたはじめ)という同じαの男。お互いαで、しかも男同士の恋なんて許されるわけがない。ひとときの幸せだと憂うノアだけど…。己が感じた“運命”を手にいれる為ならなんでもする、打算的で欲にまみれた、α×αの恋愛。
考察
見てください、この耽美としか言えない表紙! 中性的な長髪男子も耽美作品に頻出ですよね。社交パーティーに参加するような上流階級のα同士の恋。本来結ばれることのないα同士の恋というのが新しい「背徳」の形態なのかも…? 甘々耽美はハッピーBLが人気な現代の潮流にうまく順応している気がします♪
あらすじ
孤独な御曹司に植え付けられた快楽。地方名家・當間家の跡取りとして厳しく育てられてきた育郎(いくろう)は、座敷牢に匿われる妾腹の兄・蘭蔵(らんぞう)に父の関心のすべてを奪われていた。辛くとも気丈に振舞う育郎だったが、そのそばには、常に一人の男がいた。典彦(のりひこ)。育郎が幼い頃から仕える年上の使用人である。典彦は、孤独な育郎を蛇のように愛でた。深い口づけを教え、性処理とうそぶきながら股を開かせ、その長い指で尻を抉った。そうして育郎に快楽の種を植え付け体をいやらしく変えていった。そして数年後、事態は一変する。當間家当主が死に、育郎が次代を継ぐ時が来て――!?
考察
和耽美といったらこの作品を忘れてはいけません! 和装、閉鎖的な血縁社会、禁忌、歪な主従関係、背徳…このダークさ、救いのなさも伝統的な「耽美」の正統を継いでいます。それが彩景でりこ先生の今風でスタイリッシュな絵柄で描かれると新鮮な化学反応が! 「妖艶」という言葉の似合う濡れ場は、その不穏さが退廃的でクセになります。
いかがでしたでしょうか? BLの歴史を語る上では無視できない「耽美」。でもそれって、昔の数少ない名作で支えられているジャンルなのでは…? と一見思えるかもしれませんが、現代の中でうまく耽美を体現する“ネオ耽美”作品もしっかり存在感を確立しているのです! 美しすぎて胸が苦しくなる…その感覚耽美なのではないでしょうか。今後も注目してみてください♪
この記事の担当BLソムリエ:廣井無名 |