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BL出演?“ハリポタ”のダニエル・ラドクリフに、ちるちるがインタビュー!

2017/09/15 12:00

「二人の関係は純粋な愛の形」 “クレイジー”映画『スイス・アーミー・マン』がBL的で…


ある日、ちるちるに映画の試写を見て俳優さんにインタビューをしませんか? というオファーが舞い込んできました。
作品の詳細を確認したところ、映画『ハリー・ポッター』シリーズの主役を務めた「ダニエル・ラドクリフが死体役です」。


「?」マークが頭の中に百個くらい並んだ筆者は、その映画『スイス・アーミー・マン』についてネットで調べてみました。
すると出てくるのは「オナラの力でジェットスキー」「喋って万能機能を持つ死体」という意味不明のパワーワードの数々。頭の中の「?」は増すばかり……。


しかも、インタビューのオファーをくれた関係者の方は「BL好きの方に喜んでいただける映画ではないか」と……。
アメリカで公開されるやいなや現地の腐女子に大人気、また映画公式サイトにはえすとえむ先生やダヨオ先生、村上キャンプ先生といったBL作家の方々もコメントを寄せています。

一体どういうことなのか? オナラしまくるなんて下品な映画なのでは……と訝しがりながら試写に足を運んでみたところ、……なんだこれ最高じゃないか!!!!!

映画『スイス・アーミー・マン』予告編

最初は冷ややかな見方をしていた筆者ですが、出てくるころには涙ぐんでしまいました

今回はそんな今年一番クレイジーで萌える最高な映画、『スイス・アーミー・マン』の魅力を主演のダニエル・ラドクリフさんのインタビューを交えながらご紹介させていただきます。

『スイス・アーミー・マン』あらすじ
無人島で助けを求める孤独な青年ハンク(ポール・ダノ)。いくら待てども助けが来ず、絶望の淵で自ら命を絶とうとしたまさにその時、波打ち際に男の死体(ダニエル・ラドクリフ)が流れ着く。ハンクは、その死体からガスが出ており、浮力を持っていることに気付く。まさかと思ったが、その力は次第に強まり、死体が勢いよく沖へと動きだす。ハンクは意を決し、その死体にまたがるとジェットスキーのように発進!様々な便利機能を持つ死体の名前はメニー。苦境の中、死んだような人生を送ってきたハンクに対し、メニーは自分の記憶を失くし、生きる喜びを知らない。「生きること」に欠けた者同士、力を合わせることを約束する。果たして二人は無事に、大切な人がいる故郷に帰ることができるのか──!?


タイトルの『スイス・アーミー・マン』は、十徳ナイフ(サバイバルナイフ)を表す英語「スイス・アーミー・ナイフ」をもじったもの。
十徳ナイフのようなさまざまな便利機能を持った喋る死体・メニーくんのことをよく表しています。

例えば、オナラを使ったジェットスキー、ためておいた雨水を口から出して飲み水にする……とシモも含む思わず笑ってしまうような多種多様な機能を搭載しているのです。


ギリギリの肉体的接触には腐女子センサーがビンビン反応して、思わず脳内で「もはや性的なことの暗喩なのでは……」と考えてしまうほど妄想が広がります。
また、女装や恋人ごっこ、キスなどの要素も映画の中に散りばめられています。


でも、それだけでない深いストーリーも、ぜひBL好きの方に見ていただきたいのです。
一見B級コメディ映画に見えるものの、くだらないギャグだと思っていたものがストーリーが進むにつれてどんどん深みを増し、壮大な意味合いを持っていくのがこの映画の素晴らしい部分。

まさに「ライフ・イズ・ビューティフル!」と高らかに歌い上げるような、人生についての深い愛を表現した映画なのです。
そんな物語の核となるのが、無人島に流れ着いた冴えない青年・ハンク(ポール・ダノ)と万能死体・メニー(ダニエル・ラドクリフ)の奇妙な関係

その強い絆は友情を越えた、もはや愛なのでは? と思うほど。
二人の関係について、ダニエル・ラドクリフさんは「すごく純粋な愛のカタチ」と語ります。


「二人の間にあるものは、性的なものではないと思うけど、すごく純粋な愛のカタチじゃないかなと僕は思う

そんな二人の奇妙な愛を描いた『スイス・アーミー・マン』の見どころをまとめてみました。

最高なところその(1) メニーとハンクがかわいすぎる

まずは何といってもハンクとメニーという、二人のキャラクターの魅力です。

ラドクリフさんに、二人のキャラクターの魅力について聞いてみたところ、「死体のメニーはとてもポジティブでかわいいキャラクター、ハンクは経験がある分、悩みも多い」と話してくれました。


「メ二ーのほうはとてもかわいいところがあるし、自分が世界の中に生きているんだっていう風に一旦自覚してからのワクワクな感じ、(そこが)本当に好きなところだね。常にポジティブな感じ、明るくて……ときに見てるほうがイラッてするくらいの(笑)、そういう部分も彼のいいところじゃないかな。
ハンクの場合は、本当にいろいろ経験してきた、悩めるキャラクターではあるけれども、すごく美しいと思うのは、メニーと出会ったことで自分にとっていいことばかりじゃなかったこの世界なんだけども、メニーにとってはすごくすばらしい、ワクワクできる世界なんだよ、って一生懸命見せようって行動するところが好きだね」


ラドクリフさん演じるメニーはとにかく人間の世界に興味津々で、いろいろなことを教えてくれるハンクが大好き。その姿は初めて見た人を親と思うヒヨコみたいです。
一方のポールさん演じるハンクはさえない青年で、実は人付き合いも少ない。そんなハンクがメニーに素敵なものを見せたい一心でいろいろな楽しい遊びを一生懸命考えるのがかわいい!

最高なところその(2) メニーとハンクの関係が尊い

メニーとハンクの関係は、極限状態のサバイバルの中で、物理的にも精神的にもお互いに依存し合い、影響し合っています。特に、ハンクはメニーのオナラや様々な機能が頼りである一方で、そういった生々しい人間の肉体というものを敬遠している風にも見えます。
そんな二人の関係について、ラドクリフさんはこう掘り下げてくれました。


「僕が面白いなと思ったのが、ハンクは自分の肉体であったり、人間の肉体というものに対して、ちょっと苦手意識があるんだよね。全然居心地が良くないし、オナラとかそういうのも大っ嫌い。そういうタイプなんだけれども、そんな彼にとって一番一緒にいなきゃいけなくなってツラい存在って、やっぱりオナラをし続ける死体だったりするわけ。だけど僕たちは誰もがそれを持ち合わせているのだから、普遍的なものなので、本当は居心地よくあるべきなのにね? というところに持って行ってるのがすごいと思うんだよね」

人間の身体の生々しい部分が苦手なハンクにとって、一番一緒にいたくないのはメニーかもしれない……。しかし、そんなメニーと一緒にサバイバルする中で、自分にとって苦手だった人間の生々しい部分、また世界の楽しさを再発見していくのがとても尊いです……。

また、ラドクリフさんは、二人の関係を「ロマンティックなところもある」と紹介しています。


「(二人の関係に)ロマンティックな側面はある。愛じゃないかなと思うのは、特にパーティーを森の中でしたあとに、窓辺で、二人はキスをしそうになるんだけどハンクは最後に顔をそむけるんだよね。そのあと水中で(メニーが)ハンクの命を救うときに、ハンクとキスをして、今までメニーはキスの経験はないから、ハンクはそういう体験を与えた(ことになる)。それがすごく純粋な形の愛だと思うのは、どんな形であれお互いをハッピーにしたい、幸せにしたいという愛があるからじゃないかな」

最初はキスを拒んだハンクが最終的にメニーの初体験の相手になる、という展開はとてもロマンティックですね!

最高なところその(3) 故郷にたどり着いたハンクの最後の選択

物語の最終局面、ハンクとメニーは、お互いに支え合いながらとうとう故郷にたどり着きます。
そしてハンクが一番会いたかった女性、サラに会い、二人は無事保護されるのですが、ハンクは誰もが驚くある行動に走ります

ここからの怒涛の展開には、思わず涙してしまいました。ハンクの行動は、彼がどんな形であれ、とてもメニーを愛していたことが伝わる選択だったと思います。

誰も予想していなかったラストで、またしてもメニーの明るさに救われました。
ラストシーンはハンクの愛に対するメニーの答えとしての、もっと大きな愛を感じるものでした。

監督のダニエルズはこの映画について「最初のオナラで笑って、最後のオナラで泣ける映画にしたかった」と語ったそうです。
そして筆者は、間違いなくその通りの映画になったと確信しています。

ハンクとメニーの下ネタもたっぷりのユーモアあふれるシーンに笑いながら、わちゃわちゃする二人に萌え、最後には二人の間の愛に涙する。
そんな映画『スイス・アーミー・マン』は9月22日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか、全国で公開されます。
二人だけの世界、その美しさをぜひ劇場で感じてみてください。

映画『スイス・アーミー・マン』
9月22日(金)、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
配給:ポニーキャニオン
(c)2016 Ironworks Productions, LLC.
公式サイト:http://sam-movie.jp/

監督・脚本:ダニエル・シャイナート、ダニエル・クワン(ダニエルズ)
出演:ダニエル・ラドクリフ、ポール・ダノ、メアリー・エリザベス・ウィンステッド、

インタビュー
記者:みかん/写真:(c)Yukitaka Amemiya

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