ほのかに薫る…コレってBL?
ブロマンスやニアBLなどが好きなBL愛好家の方々の中には、一般小説にほのかなBLを求める方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
明示されているわけではないけど、なんだか大きな感情を持っているな……という2人を見つけた時のあの感動。
何ものにも変え難いですよね。はっきりしてないからいい! と思ってしまう時もあり……複雑な萌え探しはなんとも難しいものです。
というわけで今回も
ほのかにBLが薫る作品を紹介したいと思います。
今回は以前ちるちるでユーザーの皆さまから募集した匂い系作品を中心に、ご紹介していきます。
『火花』作:又吉直樹
<あらすじ>売れない芸人の徳永は、天才肌の先輩芸人・神谷と出会い、師と仰ぐ。神谷の伝記を書くことを乞われ、共に過ごす時間が増えるが、やがて二人は別の道を歩むことになる。笑いとは何か、人間とは何かを描ききったデビュー小説。
薫りポイント2015年には芥川賞を受賞し、世間で大きな話題を呼んだピース又吉さんの小説です。本作は芸人の話ですが、師弟関係がメイン。
尊敬、執着、憧憬が入り混じった作品なので、読む人が読めば仄かに薫るかも……? とにかく
大きな感情を浴びることができます。記者は発売当初、本作を読みラストに衝撃を受けました。
<あらすじ>高校最後の夏、悟史が久しぶりに帰省したのは、今も因習が残る拝島だった。十三年ぶりの大祭をひかえ高揚する空気の中、悟史は大人たちの噂を耳にする。言うのもはばかられる怪物『あれ』が出た、と。不思議な胸のざわめきを覚えながら、悟史は「持念兄弟」とよばれる幼なじみの光市とともに『あれ』の正体を探り始めるが―。十八の夏休み、少年が知るのは本当の自由の意味か―。文庫用書き下ろし掌篇、掲載。
薫りポイント三浦しをん先生と言えば『
月魚』が匂い系小説好きの方々の中では有名なのではないでしょうか。三浦しをん作品では他にも『
きみはポラリス』などでも同性愛の作品を描いています。本作の『白いへび眠る島』ではタイトルの通り島を舞台にした物語。絶妙な関係を描くことに定評のある三浦しをん先生作品独特の閉塞感に注目です。
田舎の少年達が小さな島の中で繰り広げる物語、儀式、風習など、ファンタジー要素も盛り込まれた読み応えのある一冊です。縁でつながれた
男二人を持念兄弟という関係性にする独特の風習を持つ島は、腐女子的にも勘ぐってしまうなにかがあると思いました。記者的には三浦しをん先生他作品の『
まほろ駅前多田便利軒』も匂い系小説としておすすめです。
『李歐』作:高村薫
<あらすじ>惚れたって言えよ。美貌の殺し屋は言った。その名は李歐。平凡なアルバイト学生だった吉田一彰は、その日、運命に出会った。ともに二十二歳。しかし、二人が見た大陸の夢は遠く厳しく、十五年の月日が二つの魂をひきさいた。『わが手に拳銃を』を下敷きにしてあらたに書き下ろす美しく壮大な青春の物語。(裏表紙より)
薫りポイント知る人ぞ知る、
匂い系BLの中で揺るがずトップに君臨する作品だと言っても過言ではないと思います。美貌の殺し屋李歐と大学生アルバイターの一彰の話です。二人の肉体的関係の描写というよりも、魂や精神のつながりを強く受ける作品です。お互いに二十二歳という若さで出会い、夢を見ます。
<あらすじ>東日本連合会春日組大幹部の韮崎誠一が殺された。容疑をかけられたのは美しい男妾あがりの企業舎弟…それが十年ぶりに警視庁捜査一課・麻生龍太郎の前に現れた山内練の姿だった。あの気弱なインテリ青年はどこに消えたのか。殺人事件を追う麻生は、幾つもの過去に追いつめられ、暗い闇へと堕ちていく。
薫りポイント一般小説だというのにかなりのハードさ……! 主人公は刑事。刑務所で地獄のような日々を送る元大学院生との話です。ヤクザに拾われたり、徐々に明らかになっていく因縁、愛憎など、
腐女子的にも「おお!」となる設定が盛りだくさんです。闇の腐女子にはたまらないんじゃないでしょうか。ミステリー小説でもあり、
ハードボイルド、ヤクザ小説でもある……見所たっぷりの作品です。
<あらすじ>18世紀ロンドン。外科医ダニエルの解剖教室からあるはずのない屍体が発見された。四肢を切断された少年と顔を潰された男。戸惑うダニエルと弟子たちに治安判事は捜査協力を要請する。だが背後には詩人志望の少年の辿った恐るべき運命が…解剖学が最先端であり偏見にも晒された時代。そんな時代の落とし子たちが可笑しくも哀しい不可能犯罪に挑む、本格ミステリ大賞受賞作。
薫りポイントヨーロッパの解剖教室をメインに進むミステリーです。
若い男子二人が下宿していたりなど、かなり萌えポイントがあるのではないかと思います。ミステリーとしても面白い作品になっています。
懐かしさを感じる西洋を舞台にした作品で繰り広げられるブロマンスがなんともたまらないのではないでしょうか。タイトルの「開かせていただき光栄です」というのは実際の解剖学にも出てくる文言だそうで、元々は
「Dilated to meet you(お目にかかれて光栄です)」の意です。タイトルからしてオシャレ…!
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いかがでしたでしょうか。
上記の作品をBLと感じるか否かは人それぞれだと思いますが、ぜひぜひ皆様もほのかに香る匂い系小説の世界を楽しんでみてください。
コメント5
匿名1番さん(1/1)
読んだことないけど興味はあります。
匿名2番さん(1/1)
又吉さんの「火花」話題につられて買ったまま積読してました。
これは早々に読まなければ…俄然興味がわきました!
かみたにさん
『開かせていただき光栄です』はタイトルと表紙に惹かれ、単純にミステリ作品として、読みました。
読み進めていくうちに、耽美な香りが仄かに漂ってきた時の衝撃は凄かったです。
皆川さんの描く文体は、美しく、芸術品の様です。
ミステリとしても至高の1冊だと思います。1人でも多くの人に読んで欲しい作品。
匿名3番さん(1/1)
三浦しをん先生大好きです…!
白いへび眠る島も読んでみたいです
匿名4番さん(1/1)
高村薫さんと柴田よしきさんはすごいっす。ある意味BLよりBLって部分もあり萌え転がります。柴田さんの作品は男同士でがっつり繋がってますが、高村さんのはカッコいい会話シーンだけで萌えさせられるので正に匂い系の女王と言って良いでしょう。お二方ともキャラクターは最高でシリーズものは全制覇したくなってしまう実力派です。