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2017/07/29 06:30
“受賞作を推した方々の意見を申し上げると、キラキラした描写、文章というものがありました。また、性的なもの(ボーイズラブ)が背景にあるために、ためらいがちにいろいろなことにアプローチしており、これについて中途半端だという人もいれば、好感を持ったという人もいました。『3・11』もボーイズラブも、表面に出していないことを評価する声もありましたが、それに対するネガティブな声もありました”
『影裏』のあらすじ
「性的なもの=ボーイズラブ」かどうかはさておき、そのような描写があるということで、7月28日に発売された単行本を早速読んでみました!
どこがボーイズラブ?
あらすじからもお分かりいただける通り、この作品の中で、今野と日浅は付き合っているわけではないのです。はっきりと恋愛感情を示すような描写もありません。
それどころか、選考委員が背景にあると言ったような「性的なもの」すらないのです。
「ニアBL」としての『影裏』
結論として、『影裏』に描かれているものはBLではないと言えます。
直接的にBL的な描写はないですし、今野と日浅の関係の背景にBL的なものがある、もしくは読み取れるとしても、それは解釈の問題になると思います。
例えば、直木賞に選ばれた三浦しをんさんの『まほろ駅前多田便利軒』はBLでしょうか? そういったものは読み取れますが、ジャンルとしてのBLとは違いますよね。
また、一般的には、BLは「女性向けの男性同士の恋愛物語」と定義されることが多いです。
三浦しをんさんの場合、ご本人もBL好きの女性という点から、広い意味でのBLとして捉えることは不可能ではないと思います。
しかしながら、沼田さんは男性。
男性のBL作家もいますが、その場合、明確に作者が「自分の作品はBLだ」と言っていることが重要。
その点を踏まえずに安易に「ボーイズラブ」だと言ってしまうのは危険だと思います。
強いて言うなら『影裏』は「ニアBL」「匂い系」だと言えるのではないでしょうか。
ニアBLは「BLとしても読める」作品。逆に言うと、BLは「BL以外には読めない」のです。
果たして今野は日浅が好きだったのか? 二人の間に何か特別な感情はあったのか?
作者の沼田さんは、文学界新人賞の受賞コメントで「2人の男の関係をどう読むかは読者に委ねた」と語っています。
BLとして読むとガッカリしてしまう部分も多いかと思いますが、ニアBLとして読むと今野と日浅の関係は想像の余地があって面白いのではないでしょうか。
いずれにせよ、BL描写には期待しすぎないことが重要かと思います。
芥川賞・直木賞の選考委員の方々には、BLというジャンルへの理解について、もう一度考え直していただきたいですね。
記者:みかん
コメント4
匿名4番さん(1/1)
作者に大変失礼な記事だ
勝手にBLにこじつけようとして最終的にBLとして読むとガッカリとか
そもそも選考委員はBLと明言しているわけではないのにジャンル理解を考え直せ?
このライターはちょっとおかしいんじゃないか?
匿名3番さん(1/1)
読んでないのでなんとも言えないけど、いわゆる匂い系の作品に対して選考員のような感想を持つのはおかしくない気がするけどなあ
ジャンルとしてのBLそのもの、あるいははっきりと同性愛を扱ってなくても、複雑な男二人の関係性に焦点を当てているようなので
あと、作者の性別は関係ないと思いますね
三浦氏みたいに明らかにBL好きを公言しているなら別かもしれないけど
匿名2番さん(1/1)
ライターさんのいう「BLの定義は、男性作者の場合はBLと明言すること」というのはひどく違和感を覚えます。本人が自作をBLと認めない限り(あるいは解釈として許容しない限り)、その作品はBLじゃないでしょう。男性とか女性とか関係ないと思います。
匿名1番さん(1/1)
これって性的なもの(BL)って書くんじゃなくて性的指向もしくはセクシャリティ的なもの(BL)って書いた方が良いんじゃないかな。多分そういう意味で選考委員の方は話してるし。
性的(BL)だと性描写とかそういうイメージを私はしちゃったし、記事にあるようにこの本には性的なBL描写は皆無な訳で。けどセクシャリティ的なものって書かれていれば辻褄があうような。