深く、濃厚な2時間! 生イラストプレゼント、お江戸の春画解説なども2月25日の発売直後から、ちるちるのランキングにも上位に食い込み話題を呼んだ、伊達男と陰間あがりの恋を描いた江戸BL
『百と卍』。
その著者である紗久楽さわ先生のトークショー、「百と卍と、お江戸とBL。」が5月21日に開催されました。記者・馬子も参加してきましたので、その様子をお伝えします!
場所は、神保町にある
「書泉グランデ」。7階の会場内に入ると、複製原画展示コーナーが!
美しいイラストがズラリと並び、何とも幸せな空間…! また、先生おすすめの資料本や春画、江戸東京散歩の本も展示されており、自由に観覧することができました。会場内はおよそ70人のお客さんでびっしりとなり、時間通り16時にスタート。会場の歓声につつまれながら、紗久楽さわ先生と担当編集さんが着物姿でご登場!! 緑色の鮮やかで可愛らしい着物が非常に似合っていました!
始めは、紗久楽さわ先生と担当編集さんの自己紹介。先生はもともと、『百と卍』を描く前から江戸時代を舞台にした漫画を多く描かれています。
着物が出てくる漫画やイラストが好きで、2004年に放送された大河ドラマ『新選組』にハマったことがお江戸に熱中するきっかけになったと語られました。『新選組』にハマったというよりかは、幕末の江戸の風景や人物に次第に惹かれていき、江戸が描かれている漫画や小説などを読んでいったそうです。
また、浮世絵や歌舞伎にハマったことも大きな要因として挙げられていました。歌舞伎にはいわゆる“イケオジ”が多く、フンドシ姿に萌えるのだとか! 「歴史でもどの分野でも、女の子は特に推しメンを1人作った方がいいです。その人を出発点に“生きた時代”や““着た服“、”使ったであろう道具”など、どんどんのめり込んで、ハマるのが一番楽しいです」と、笑顔でした。
「萌え狂っていたらここまできました」先生曰く、江戸に関してとにかく探求心があったそうです。江戸時代についてどのように勉強しているのか、という問いに対して「ただただ、萌え狂っていたらここまできました」とコメント。物事を肌や感覚で知ることが好きなので、聖地巡礼をして、さらにその場所を調べて…ということが多いようで、その場で妄想力を繰り広げて「あの人もここにきたのかな、ここの空気を吸ったかな」と想像するのだとか。
「誰か江戸BL描いてくれないかなって思っていたのですが、色んな方面からBLを描いて! って言われていたこともあり…」と、漫画家・雲田はるこ先生のプッシュがあったことも語られました。「自分の思い描く江戸BLがあまりなかったため、ないなら自分で作ろう! というのが信念なので描き始めました」ということで、『百と卍』は誕生したようです。
また、担当編集さんから「百派?卍派?」と質問されると、「性癖的には百、夢女子的には卍さんにキャーキャーしたい」と回答。わかるという頷きとともに、会場からは大きな笑いが起こりました。
陰間や春画、アダルトグッズ解説も!?今回のトークショーを行う上で特に話したかったという、江戸のお話。陰間について、春画についての解説など盛りだくさんの内容でした。
資料が多く残っているようで、新しい知識を得るには最適かもしれません。先生は「こういう絵が残っているから描けるし、描きたかった」とコメント。指の入れ方など陰間の仕込みについても描かれており、非常に興味深い内容でした!
「今日は丁子油の匂いのするキャンドルを持ってきました!」と客席に回す場面もありました。
およそ15分の休憩を挟み、後半の部がスタート。ここからは会場のお客さんから事前に寄せられた質問シートをもとに語られました。褌や彫物、着物の柄の使い分け、思い入れのあるシーンについてなど多くの質問が。「卍さんと百、一緒に暮らすならどっち?」という問いに対しては、「卍さんと百さんはこれからもずっと一緒にいるので、私とは住んでくれないと思います」と先生が即答。「では住んでくれないということで!」という担当編集さんの返しに、笑いが起こりました。
また、資料をもとに江戸のアダルトグッズの紹介コーナーも! 現代でも見たことのあるようなものが江戸から使われていることに驚きました。
その場でイラストを描き下ろし! 抽選でプレゼントもイベントもいよいよ終盤に。なんと紗久楽さわ先生がその場で色紙にイラストを描き、くじで選ばれた2名の方にプレゼントというビッグサプライズが! 普段描かれているところは滅多に見ることができないため、大変貴重ですね! 会場中がどんどん描かれていく卍兄さんに釘付けです。
15分ほどで描き終えられ、イベント前に描いたという百のイラストと並べると圧巻! くじ引きで選ばれた2名の方にプレゼントされ、会場中が大きな拍手で包まれました。
「毎回試行錯誤して江戸漫画とBL漫画、周りの方に助言をいただきつつ男の子2人の萌えを入れているので、毎回思い入れがあり、頑張って2人を描いています。楽しんで読んでもらえたら嬉しいです!」という先生の挨拶により、イベントは終了しました。
紗久楽さわ先生と担当編集さんの仲の良い雰囲気が伝わり、濃く深いあっという間の2時間でした。江戸の知識がまったくない筆者でしたが、分かりやすく解説して下さったので江戸について理解を深めるとともに、お江戸BLに俄然興味が湧いてきました!
また、トークショー開催記念として、今回の会場となった書泉グランデ4階では「お勧め江戸の本コーナー」も!
この機会に、江戸について知識を深めるのもいいかもしれませんね!
紗久楽さわ先生原作『百と卍』は、ただいまアンソロジー『on BLUE』にて連載中。
きっと“江戸BL”という新しい扉が開けるはずなので、ぜひこの機会にお手に取ってみてくださいね♥
記者:馬子