初めて観るならまずはこの作品から♪同性カップルが楽しげに街を行き、誰もが知る人気バラエティ番組では同性愛をテーマに意見が交わされる。アジアの中でも、特にLGBTへの理解が進んでいると言われているのが、台湾です。
台湾ではこれまでに、男性同士・女性同士を問わず、同性愛を扱った映画が数多く製作されてきました。同性愛が強くタブー視されていた時代の悲恋、家族に対する葛藤、友情と愛情など、テーマもタッチも様々。
今回はそんなたくさんの作品から、「これだけは外せない!」というおすすめゲイ映画を年代順にご紹介します♪
リアルのゲイ達にも影響を与えた米台合作『ウェディング・バンケット』(囍宴/1993年)<あらすじ>
ウェイトン(ウィンストン・チャオ)は、台湾からニューヨークに渡り成功をおさめていた。彼には一緒に暮らしている同性の恋人サイモン(ミッチェル・リキテンシュタイン)もいるが、息子の結婚を望む父親(ラン・シャン)にはゲイだと話せずにいる。だが父の健康が思わしくないことを知った彼は、サイモンの友人で、市民権を欲しがっている上海出身のウェイウェイ(メイ・チン)との偽装結婚を思いつく。
台湾とアメリカの合作映画で、手掛けたのは、アメリカゲイ映画の傑作
『ブロークバック・マウンテン』のアン・リー監督。親と子の繋がり、心に秘め事をし生きる覚悟など、本筋に流れるテーマはシリアスそのものですが、重さを感じさせない軽快なラブコメディとなっています。当時のゲイ達の現実生活にも少なからず影響を与えた作品。
《囍宴》The Wedding Banquet |藍光發行 Blu-ray|全新數位修復預告 Trailer
田舎少年の初恋の相手はNo.プレイボーイ!『僕の恋、彼の秘密』(17歳的天空/2004)
<あらすじ>
純朴な田舎の少年・ティエン(トニー・ヤン)は、憧れの台北で出会ったイケメン青年・バイ(ダンカン・チョウ)に恋をする。しかし彼は幾多の男を弄んできた超有名なプレイボーイで……。
同性愛をタブー視したストーリーが主流だった、それまでの同志電影とは打って変わって、
恋愛を楽しむゲイたちの姿を魅力的に描き出した明るくポップな作品。
これから恋をするぞ! というエネルギーに溢れた姿、そして恋に悩むいじらしい姿に、つい笑顔が零れてしまいます。情熱的で幸福感に満ちたベッドシーンは必見ですよ♪
17歲的天空-預告片
とにかく切ない! 伝説的青春ボーイズラブ『花蓮の夏』(盛夏光年/2006)<あらすじ>
優等生のジェンシン(ブライアン・チャン)とバスケットボール部の花形選手ショウヘン(ジョセフ・チャン)は台湾・花蓮に暮らす親友同士。幼馴染みとして共に成長し高校生になったふたりの前に、ある日孤独な少女・ホイジャ(ケイト・ヤン)が現われる。
ゲイムービーであり、
ボーイズラブ的作品としても楽しめる一作。固い友情と恋愛感情の合間で揺れ動く、若者たちの繊細な心の機微を描いた名作青春映画です。相手の幸せを願う気持ち、それに反する
独占欲と嫉妬……BLが好きな皆さんにはどれも覚えがありますよね! ただただ切なく萌えたいという方にオススメ!
盛夏光年-預告片
ともにマイノリティを生きる少年と少女『Somewhere I have never travelled』(帯我去遠方/2009) <あらすじ>
色覚障害を持った少女・アグイ(リー・ユンユン/ヨウジン)は、彼女を唯一理解してくれる従兄のアシン(リン・ボーホン)に淡い想いを抱いている。彼はアグイに「同じような色覚をもった人達だけが暮らす島がある」と教え、いつかそこに連れていくと約束を交わしていた。そんなある日、2人の住む町に日本人の青年バックパッカー(チョウ・ヨンシュアン)がやってきて……。
色覚障害を持つアグイと、ゲイのアシン。形は違えど、2人はともに“マイノリティ”を生きています。そんなアシンだからこそ、
「同じ人間ばかりではつまらない」とアグイを勇気づけることができたのでしょう。アシン役のリン・ボーホンは清潔感に溢れ、また日本人バックパッカーを演じたチョウ・ヨンシュアンはセクシーでたまりません! 日本語盤DVDがリリースされることを期待し続けている作品です。
帶我去遠方 深情版預告
男女3人、27年にわたる愛の記録『GF*BF』(女朋友。男朋友/2012)<あらすじ>
1985年、戒厳令下の台湾・高雄。高校の同級生リン・メイバオ(グイ・ルンメイ)、チェン・チョンリャン(ジョセフ・チャン)、ワン・シンレン(リディアン・ヴォーン)の3人は、厳しい思想統制の中でも自分たちなりの青春を謳歌していた。いつしか大人になり、彼らの関係は徐々に変化していき……。
激動の時代の真っ只中に青春を生きた男女3人の、
27年にわたる友情と三角関係の物語です。女性を中心に物語が進んでいくことに抵抗がある方もいらっしゃるかもしれませんが、この主演を務めたグイ・ルンメイの演技が本当に素晴らしいのです。彼女の存在があってこそ、この作品のテーマが際立ちます。クライマックスへ向かうに連れ3人の想いが胸に迫り、ラストには優しい涙が流れること間違いなし!
映画『GF*BF』予告編
台湾の同志作品史に残る名ドラマさて、ここまでゲイ映画を紹介してきましたが、台湾同志作品の歴史上見逃せないのが、2003年にテレビドラマで大ヒットを記録した
『孽子(ニエズ)』です。これより前に映画も作られていますが、ドラマ版の方がより広く知られているかと思います。
同作は、中国文学の巨匠であり、自身もゲイであることを公表している作家・
白先勇の小説が原作の物語。
戒厳令下の台湾。同性愛を咎められた少年・アチンは、台北市の新公園(二二八和平公園)に流れ着きます。そこは彼と同じ境遇にある者達が集まる「夜の王国」で……というストーリー。
まだ同性愛者が抑圧されていた1970年代。そんな時代に自身を貫くことの難しさ、苦悩、そして家族・親子の葛藤をどこまでもシビアに、生々しく表現しています。
Crystal Boys(孽子・ニエズ)
『花蓮の夏』『GF*BF』等、いくつもの作品で同性愛に生きる青年を演じ、ゲイからの人気も高い
ジョセフ・チャンはじめ、現在では台湾を代表する役者となった俳優陣が多く出演していることでも有名。映画の入門編とともに、こちらもぜひチェックしてみてくださいね♪
記者:神谷浩未